山田玲司のヤングサンデー

山田玲司のヤングサンデー【第133号】伝えるためにできること

2017/05/01 07:00 投稿

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山田玲司のヤングサンデー 第133号 2017/5/1

伝えるためにできること


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久しぶりに暴露しますけどね。


先週の放送の前に僕に「大変なこと」が起きてまして。


まあね、そんな事は実は何度もあって、忙しくてヨガをさぼっていたせいで、体調を崩して、公式放送の前日まで腹痛でのたうち回っていたとか、気合入れて用意した放送の台本を忘れてきたり、履き倒してきたスニーカーのカカトが壊れて、靴に仕込まれてたパーツが足に刺さったまま放送してた事もあるしね。


そんな事はわざわざ言わなくてもいいと思って言わないんだけど(言って面白くなるなら言うけど)

今回のは中々すごいヤツでしてね。



~神が2人~


それは僕の「神様」についての話です。


僕には「神様」と思っている人が何人かいます。もちろん手塚治虫先生も、五味太郎師匠もその1人です。


中でもヤバい神様が、ピカソ、マチス、ブルーナの3人です。


今年になって、その中のブルーナが亡くなってしまい、今銀座では彼のデザインワークをテーマにした展覧会が開かれているのです。


ちょうど絵本が完成したタイミングなので、ぜひ見に行こうと思って、放送の前日に見てきました。


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ディック・ブルーナです。「ミッフィー」でお馴染みのオランダの絵本作家さんです。


僕は子供の頃に「ミッフィー」に出会ってから、「理屈を超えて」彼の作品に夢中なのです。


ブルーナはマチスよりも後の時代に生まれていて、最初は本の装丁やイラストを描く「デザイナー」であり「イラストレーター」でした。


それが、自分に子供が出来て、その子のための絵本を作ろうと思ったことがきっかけで、絵本作家になった人です。


僕が、彼のシンプルな作風に惹かれる理由の1つは、ブルーナがマチスにインスパイアされているからでもあります。


有名なマチスの「光の教会」に行って、そのシンプルな力に目覚めた、みたいなことをブルーナは言っているんですけど、僕も同じなのです。


マチスが晩年近くに手掛けたニースの教会は、本当にシンプルなアートワークで統一されていて、キリスト様もマリア様も顔は描いていないのに、不思議な「優しさ」を感じさせるのです。


そのステンドグラスも圧巻です。青と黄色だけのデザインで、気品があるのに親しみやすくて、優しいのです。


僕はその教会で、強く強く「僕もこっちに行きたい」と思ったのです。


そしてブルーナもまた、はるか前に同じ場所で同じことを思った人なのです。


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ニコ生では「カルテット」と「桑田佳祐」の話をやる予定で、僕の頭には「桑田佳祐」というもう1人の神様についてずっと考えていた時に、ブルーナ展に行ってしまったわけです。


それはもう「神様が2人」です。メモリーオーバーです。



~自分をどかす~


僕は自分の著作の中で、何度か「自分」ってのをどかすと「相手」が見えてくる、なんて事を書いてきました。


「俺が俺が」ってやっていたら相手の話なんか聞けないし、そもそもそんな人の話なんか聞いてもらえないからです。


クレイジーケンバンド曲で、「タイガー&ドラゴン」ってのがありますが、その歌詞に「俺の話を聞け、5分だけでもいい」ってのがありますよね。


この曲の中の「俺」は、自分の話を聞いてもらえないようです。5分も聞いてもらえない。

これはリアルな歌詞です。

人の話を聞かず、自分のやり方を押し付ける「俺が俺が」の人は、5分も話を聞いてもらえなくなるって事が伝わってきます。

僕もこういう人がいたら「なるべく早く帰ろう」と思うでしょう。


それくらい「自分」を押し付ける事は「虚しい行為」なのです。


でも、やっぱり自分をわかってもらいたいのが人間です。僕もそうです。


なので、とりあえず「あなたのための時間」と「自分のための時間」を行ったり来たりするのです。


桑田佳祐の派手なデビューの直後に生まれた名曲「いとしのエリー」では、「あなたのため」の曲を歌っています。「笑ってよ」と、好きな人に向かって愛を与えているのです。


でも、その後に過度のストレスに苦しんだ桑田さんは「ビッグスターブルース」という曲で、スターに祭り上げられた自分の苦悩を歌い出すのです。

そしてこれが、その時点でのサザンの曲で、最低の売り上げになるのです。


それでも彼は自分の中の「自分」を、ソロや好きな洋楽のカバーバンドをすることで、再び押さえ込んで「みんなのうた」という歌で見事に復活します。


桑田はその曲の中で「君よあるがまま」と、「相手を全面的に受け入れる覚悟」を示しています。


その後は、ソロアルバムその他の活動で「自分」を出すことで、押し付けがましい「俺俺病」を克服していったのです。

 

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