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2017年12月22日放送『金元寿子と川上千尋のテラ娘屋』ラジオドラマ「干支の始まり」脚本

2018/01/04 12:00 投稿

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  • 金元寿子と川上千尋のテラ娘屋
干支の始まり

登場人物
少年
少女
ネコ


麒麟【実況・ナレーション】
玄武(亀)【解説】

少年「なぁなぁ、何で干支に猫が居ないんだ? 動物の中でもかなり有名じゃん?」
少女「あー、たしか……ネズミに騙されたって話じゃなかったっけ?」
麒麟「そう、その昔、神様のちょっとした『娯楽』……そう、戯れだったのです」

神「あー、あー……皆の者、聞えておるか? 1年を12分割するのにそろそろ慣れてきたことじゃろ? ただただ1年1年が過ぎていくのも味気ないなぁなんて思うんじゃ。 そこで、1月1日の日の出、わしの所に来た順に『1年の代表』を任命する。 これも12とするかのぉ。 皆の者の検討を祈る」

ネコ「くかぁー……んご! ……んにゃ? あれ?お話は終わったのかにゃ?」
鼠「ご神託があったと言うのに、おまえさんはちゃんと聞いてなったんでちゅか?」
ネコ「にゃははは。聞いてた、聞いてたよ? ただ、忘れたのにゃ」
鼠「今さっきの話じゃないでちゅか……どこまでは覚えてるでちゅか?」
ネコ「えーっと、神様の所に早く来い……だったようにゃ……」
鼠「ざちゅ! まったくもう……1月2日に神様の所に挨拶来た順に1年の代表者を任命してくれるんでちゅよ」
ネコ「にゃ?1月……2日?」
鼠「初夢を見た後に来いってことでちゅよ」
ネコ「にゃーるほど。来年はいきなりレースをすれば良いってことにゃんだね? にゃはは!楽しみだねぇ」
鼠「ほんとでちゅね……くふふ♪」

時間経過

(ココから先、レース実況の様に)
麒麟「今年も終わりを迎えようとしています。 神様が発表して随分経ちましたが、ついに運命の日を迎えようとしています。 このレースの実況は、獣神の一人である、私、麒麟がお届けします。 そして、解説は四神のみなさんです」
玄武「あー(ちょっと気まずい)……玄武です」
麒麟「あれ? 他の3人は?」
玄武「白虎と朱雀は、それぞれ虎と鳥に気合を入れに行って、青龍は…… なぜかアップを始めた」
麒麟「はぁ?」
玄武「負けたくないんでしょ?」
麒麟「えっとぉ……その、玄武さんは?」
玄武「だって、亀だもん……流石に厳しいでしょ? だから、諦めてる」
麒麟「なるほど…… 私は一応……色々な者たちを統べる存在ですし、どれがトップでも良いんですけどね」

(この先、適宜鳴き声を入れながら)
麒麟「さて、では改めまして主な陣営を紹介していきましょう。 ではまず、四神の加護を得たと言うか、責任重大になりました、 まずは白虎さんがゲキを飛ばします、虎です。 決してスピードに勝っているわけではありませんが絶対強者としての意地があります」
玄武「そうですねぇ。 とにかく全力を尽くすことに定評がありますし、総合力で勝負をかけたいところですね」
麒麟「続きまして、朱雀さんが中心となって代表者を選出しているのでしょうか? 酉です」
玄武「空を飛ぶのが許容されているのか、レギュレーションが気になるところですね。 恐らくは2種類くらい用意するのではですか?」
麒麟「なるほど。本来は空をかける種族ですからね」
玄武「しかし、飛ばない者として鶏がいるから、 おそらく保険をかける意味で出してくると思います」
麒麟「下手な鉄砲、雉も鳴かねば打たれまい、と言う奴ですか」
玄武「そうです…… ん?」
麒麟「他は、 今までも様々な物語で勝負を挑んではほとんど勝ちこぼしてしまう兎も強そうですね」
玄武「ちょっと油断しやすいんですよね。ドジっ子属性が邪魔をしてしまうと言うか…… 亀にすら負けましたからね、ドジってレベルじゃない」
麒麟「それに対して、その生きざま真っ直ぐにして一直線、猪突猛進は伊達じゃない、猪」
玄武「猪の怖い所は、とにかく馬鹿なところ。 気力勝負になった時なんかは馬鹿であることが強さになりますからね」
麒麟「最後の勝負では怖い存在ですね」
玄武「そうです」
麒麟「ほかに目立つ所では、そのパワーは随一!行く手を阻むものは壊して進む、像です」
玄武「スピードは無いですが、障害物を蹴散らしていけるパワーは魅力です」
麒麟「そうですよね。しかし障害物に対して、避けるならば猿もいます」
玄武「知力に勝る猿の戦略に期待が持てそうです。 ただ、兎同様、策に溺れることも多いので目が離せません」
麒麟「知略勝負の対抗馬としては狐も居ます」
玄武「猿よりは安定感がありますが、 フィジカルで劣る部分をどうするか、まさに化(ば)かしてもらいたいですね」
麒麟「さぁ、そろそろ日が傾いてきました。スタートを切る動物がいるようです」

SE 像
玄武「あー、像が行きます。 スピード勝負になったら厳しいですし、逃げ切りを狙っての早めスタートでしょう」

麒麟「像がスタートを切ったのをきっかけにレースが始まりました。 チキチキなやつらの猛レース。果たして勝利の女神は誰に微笑むのか」
玄武「おや?鳥の代表はワシを出してきたようですね」
麒麟「颯爽と上空へ……昇りたいところなのですが、イマイチ鈍いですね」
玄武「おそらく、日が暮れてしまい、上昇気流がイマイチなんでしょう」
麒麟「なるほど。この時間の勝負には環境が不利の様ですね。 さぁ、障害物を押しのけて先頭を切る像と その翼を武器に空から攻めるワシが引っ張ります」
玄武「猿はどうやら茂みを突っ切るようですね。その後ろには蛇が追う形になりました」
麒麟「そのようですね、後ろに猪も居ますね。ちょっと不向きな気もしますが」
玄武「山に住んでいて、 恐らく像に踏みなされた見晴らしのいい場所は落ち着かなかったのでしょう」
麒麟「あ、情報が来ました。どうやら、目の前を横切った猿について行ってしまったようです」
玄武「そうですか」(間違った解説をしたけど、しれっと情報を受け入れる)

BGM レース2

麒麟「だいぶ落ち着いてきまして、大きく2つに分かれました。 像が切り開きそれを追走するグループと、茂みの中を進むグループです」
玄武「野原や平原で暮らす動物たちは、像の後ろを追走。 山で暮らす動物たちは茂みを行くようです」
麒麟「さぁ、そんな地上を行く者達を尻目に上空から一気に攻めるワシは……あれ? ワシはどこですかね?」
玄武「どうやら、早々に脱落しているようですね」
麒麟「あー、なんと唯我独尊で独走をするかもしれないと目されていたワシが離脱だ―!」
玄武「これはちょっと驚きましたね」
麒麟「大波乱ー!まさかの本命がぁー!」
玄武「麒麟、うるせぇ……」
麒麟「いったい、何が当たんでしょうかー!!」
玄武「だって、昼行性な上に、鳥目だしね」
麒麟「鳥目?」
玄武「上空に登れず低空飛行してたところに、枯れ木にでもぶつかったんでしょうよ」
麒麟「あー」(納得)

BGM レース3

麒麟「レースも折り返し、コースが決まってるわけじゃないので こちらで把握しているところの順位をお知らせしましょう。まずは先頭を行きます像」
玄武「ちょーっと疲れが見えてきたでしょうか、スピードが落ちてきましたね」
麒麟「追走しますのは、羊の様ですね」
玄武「群れで生きているだけに、後ろについて行く姿は余裕を感じますね」
麒麟「そしてその羊を追っているのが犬の様です」
玄武「もしかして牧羊犬なんでしょうかね?」
麒麟「どうでしょう。いや、犬より前……と言うか、羊の上に鶏が乗ってますね!」
玄武「モコモコの中にいて、とても暖かそうです」
麒麟「そうですね。犬の後ろを兎が続いていますね。 今回は黙々と走り…飛び続けているようです」
玄武「その後ろにイタチが居るのが気になりますね。捕食しなければ良いのですが」
麒麟「え?食べるのあり?」
玄武「無しとは聞いてません」
麒麟「思ったよりも過酷なレースなようです。 もしかしたら最後尾にいる虎は、脱落者たちを食べる気なのかもしれません」

麒麟「ゲリラチームは、猿を筆頭に、猪も鼻血を出しながら付いて行きます」
玄武「猪は真っ直ぐに走り過ぎてぶつかってますね」
麒麟「非常に痛そうです。そして蛇が遅れてきました」
玄武「爬虫類ですからね、ちょっと寒過ぎて体温が落ちてきたのでしょう」
麒麟「それは仕方が無いですね。そのまま脱落となるのか……っと? 後方からなにか凄い勢いで追いかけてくるものがいますね……」
玄武「あれは……青龍じゃないかぁぁぁ!」
麒麟「なんと、ここで四神の青龍が飛び込んできた!」
玄武「ちょっと、なんで青龍が参加してるんだよ!」
麒麟「遅れている蛇に並走をするようですね」
玄武「長い身体同士で、支持をしているんだろうか?」
SE 火炎放射
麒麟「おっと!青龍さんが火を噴いた!いったいどういうことだぁ?!」
玄武「茂みの中で火を噴くとか、気でも触れたのか!」
麒麟「さぁ、蛇がまさに尻尾に火がついた!」
玄武「あれ?なんだか蛇の様子が……」
麒麟「あー、なんと蛇のスピードが上がった!これが火事場のクソ力なのか!」
玄武「いや、あれは身体が温められて動きを取り戻しましたね」
麒麟「青龍さんはこれを狙っていたんですね! 蛇を並走しながら茂みをさらに燃やして行きます!」
玄武「これはもはや山火事でしょう」
麒麟「青龍さんとタッグを組んだ蛇が追い上げて行きます! おっと!像がバランスを崩したようです」
玄武「これは状況が大きく変わりそうですね」
SE どがーん!
麒麟「そのまま転倒した!転倒です!何かを踏んで滑ったようですね……」
玄武「あー、亀ですね」
麒麟「亀ですか」
玄武「競争に参加はハナから諦めていたけど、像がトップなのか気に食わなかったのでしょう」
麒麟「像が気に食わなかった、と言う事ですか?」
玄武「南の方(アジア)では像は神の化身として崇められることが多いですからね、 ワタシの眷族である亀がちょっと嫉妬したんでしょう」
麒麟「なるほど。冬眠していたであろう亀が嫉妬のあまり頑張ったのですね」
玄武「もしかしたら、青龍の炎のおかげかもしれません」
麒麟「今回の競争、多くの変温動物が辞退した理由はこの寒さでしたからね」
SE 鶏が鳴く
麒麟「白々と夜が開けてきまして、いつもより早い時間ですが、鶏が鳴きました」
SE 羊が驚く
玄武「背中で急に鶏が鳴いたので、羊が吃驚してますね。と言うか、まだ乗ってたんですね」
麒麟「像が脱落しまして、今残っているのは……12種類に絞られました。 あとは順位争いとなりそうです」
玄武「他のルートから進攻している可能性もあります」
麒麟「そうですね、最後まで目が離せません!残りはわずか、ゴールも見えてきました……」
SE ババーン
麒麟「なんと、ゴール地点に既に開門待ちをしてる動物が居ます!!牛のようです」
玄武「そう言えば、スタートのタイミングを合わせると言うことは言われて無かったですね」
麒麟「渡しを含め、みんな競争だと思っていたのですが、まさか開門待ちをしていようとは!」
玄武「これには、レース中の動物もびっくりですね」
麒麟「さら、ラストスパート!2位争いになってきました。まずはここで躍り出たのは兎です!」
玄武「今回は手を抜いたりしてないようですね」
麒麟「すぐ後ろには犬、そして猛然と追いかける羊と背中に乗る鶏」
玄武「鶏は最後まで背中に居るつもりなんですかね?」
麒麟「さぁここで虎が猛追します! おっと!白虎が我慢ならず追い掛けながら声援を送っているようです」
玄武「どうやら、目の前の兎を食ってしまえと指示をしているようですね」
麒麟「まさかのラビットレース、ここで開催!犬と虎のどっちが兎を食らうのか!」
玄武「血みどろのクライマックスと言うのも良いですね」
麒麟「ここで茂みから猿、そして青龍さんに追いかけられながら蛇が飛び出してきました」
玄武「これが本当の藪蛇」
麒麟「おぉーっとここで喧嘩です! 喧嘩が勃発しました! 犬と猿が取っ組み合いになってます。お、ここで朱雀さんが飛び込んだ!」
玄武「二匹を取り持つんですかね、鳥だけに」
麒麟「そうですか。 あ、ココで開門! 開門です」
玄武「おや? 牛からなにか飛び出しましたよ」
麒麟「まさか、牛の背中から鼠です!鼠が飛び出して、トップで門を通過しました!」
玄武「鶏だけじゃなかったんですね」
麒麟「牛歩の歩みで牛が2位、 そして白虎さんに噛みつかれながら虎が3位で駆け抜けていきました」
玄武「白虎が満足そうです」
麒麟「食べられることなく、兎が4位でチェック、 その直後に、青龍さんが飛び込みました」
玄武「なんであいつ、普通に参加してゴールしてんの?」
麒麟「青龍さんに引っ張られるように蛇、そして息を切らしながら馬が7位です」
玄武「え?青龍もカウントするの?!」
麒麟「羊が8位。あ、鶏が居ません!」
SE 鶏
玄武「朝を知らせるのに一生懸命になってしまったようです」
麒麟「朱雀さんが、猿と犬を仲裁しながらゴールへ向かいます」
玄武「朱雀は鶏の首根っこを捕まえましたね。 青龍みたいに自分がゴールするわけじゃなさそうです」
麒麟「3匹がまとまってゴール!猿がちょっと手を伸ばして先着の模様です」
玄武「血みどろの猪が駆けこんできましたね」
麒麟「猪が12位でゴール!狐は猪に吹っ飛ばされましたー!!」
玄武「……それにしても、青龍の扱いはどうするのさ……」

BGM 落ち着いた感じに
麒麟「レースの結果、十二支の順番が決まったそうな……そして、次の日」

猫「あれ?にゃんだ?私が一番乗りかにゃ?」
神「ほぇ?十二支なら昨日決まったぞい?」
猫「昨日? あれ?鼠が1月2日にって……」
神「鼠?鼠なら1位だ。今年はネズミ年ってことじゃ」
猫「ねーずーみーのニャロー!!!」

END

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