キューピッドの恋
エロス キューピッドとも呼ばれる恋心と性愛をつかさどる神。♂
プシュケ 人間の娘で、母である王妃がアフロディーテにも勝ると豪語♀
アフロディーテ『パリスの審判』で神の世界で最も美しいと言われた愛と美の神♀
プシュケの姉 プシュケーの姉で既婚。末っ子のプシュケーの絢爛な生活に嫉妬♀
配役案
エロス・プシュケ姉/川上千尋
プシュケ・アフロディーテ/金元寿子
アフロ「んー……」
エロス「どうなさったのですか?お母さま」
アフロ「ねぇ、エロス……美しいお母さんは好きですか?」
エロス「え? あ、はい! 好きです!」
アフロ「そうよね?じゃあ、ちょっと私のお願いを聞いてくれる?」
エロス「何かあったんですか? なんか、いつものお母さまと雰囲気が違うんですけど……」
アフロ「私は、あのゼウス様さえ認めた『パリスの審判』で、ヘラやアテナに勝ったの」
エロス「だからこそ、最も美しい女神と称えられたのですよね」
アフロ「そう。私が最も美しい!…… なのに最近、『私よりも美しい』と言う人間の小娘が現れたのよ」
エロス「それは凄いですね」
アフロ「そして、事実、私の神殿に見向きもせずに、 その小娘を見るために世界中の人間が集まっていると言う」
エロス「まぁ、お母さまを称える神殿にあるのは絵や像ですし、 やはり生身の人間って言うのが良いんじゃないですか?」
アフロ「私の名誉は、あの人間の娘に奪われてしまうというの!?」
エロス「いやまぁ……そう言うことに……なっちゃうんですかね?」
アフロ「ムキー! あの恥知らずな小娘、プシュケに、不細工な男を恋するようにしむけなさい! キューピッドと呼ばれ、愛を司るあなたなら、造作も無いことでしょ?」
エロス「その娘の名前は、プシュケと言うのですか?」
アフロ「あなたは名前を言わなくて良い!汚らわしい!」
エロス「そうですか……はぁ、これってただの八つ当たりじゃない?……」
アフロ「なーにーかー言ったぁ?」
エロス「あぁ、何でもないですー!!行ってきまーす!」
アフロ「ふふふ……女神の私に勝るなんて、許さないわ……」
エロス「はぁ、やれやれ……いままでも悪戯に恋に貶めたことはあるけれど、 命令されて人の恋路を邪魔すると言うのは、気が進まないなぁ……」
プシケ「くぅ……くぅ……」
エロス「どぉれどれ、御尊顔を拝見しましょうかねぇ…… あぁ、これはお母さまに勝るとも劣らない完璧なプロポーションだ…… この子、まだ誰のものでもないんだよね…… それなのに、不細工な男しか愛せなくするのか……」
プシケ「くぅ……くぅ……」
エロス「お母さまの八つ当たりでこんなことになって、ごめんね」
SE 魔法
プシケ「ん……くっ……んん……んー」(一瞬苦しんだ後、再び寝息を立てて寝る)
エロス「ふぅ……あ」
SE 魔法
エロス「しまった、気が抜けて……あぁ……愛おしい…… ……でも、自分は愛して貰えない……クソッ!!」
SE 姿が消える
プシ姉「ねぇねぇ、聞いた? プシュケがあまりにモテないから、神様に伺いに行ったら、なんと 『プシュケーは人間の誰とも結婚できぬ。 山の頂きに連れて行き、そこにおいてきなさい。山の怪物が彼女と結婚するであろう』 と言う神託を受けたんですって!もはや呪いよね、それ…… え?お前は誰だ?プシュケの姉ですが、なにか? あ、すでに結婚しちゃってるから、惚れちゃやーよ?」
プシケ「私が何をしたと言うの?美しさが罪だと言うの? でも……私自身、男の人にときめく事が無いのよね…… ……それにしても、この景色のなんと素晴らしいことか…… ……まるでココは天国の様だわ。 行ったことないけど……」
回想的に差し込み
エロス「なぁ、お願いだゼフィロス。 山に捨てられるであろう人間の美女を、この森にそっと連れて来てくれないか? 手に入れたいんだ……」
プシケ「誰も愛せず、誰からも愛されない。美しさは時と共に失って行く…… なら、ここでピリオドを打つのも良いのかもしれないわ……」
SE 足を擦る&崖を小石が落ちていく
飛び落ちる
一陣の風
SE 森の中
プシケ「……え? ここは?」
エロス「この館にあるものはすべてあなたのものです。 お好きな時に、お食事と湯浴みをなさってください。 そして、何をするも自由です」
プシケ「え?どこにいるの? 声はするけど、姿が……見えないわ」
エロス「私はあなたの夫です。 しかし、絶対に私を見てはいけません」
プシケ「姿を見る事は出来ない?」
エロス「私はあなたが欲しい。 あなたはココに居る限り好きに生きて良い…… 無理強いは出来ませんが、もし魅力に思って頂けるなら、 一緒に暮らしてくれませんか?」
プシケ「あなたは……私のことが、好き……なんですか?」
エロス「えぇ、『好き』です」(自分の意思か判らないけど、好きなのは間違えない)
プシケ「……私のことを好きと言ってくれる人もいたんだ……」
BGM 幸せな日々
プシケ「おねがいがあるのですが……」
エロス「なんですか?」
プシケ「お姉さんに会わせてくださいませんか? 私はちゃんと幸せな結婚生活を送っていると教えたいのです」
エロス「手紙じゃ駄目なのかい?送り届けさせるよ?」
プシケ「手紙では正しく伝えられる気がしないのです。 安心して貰いたいので、一度で良いので会う事は叶いませんか?」
エロス「分かった。でもあなたを外に出したくない。だから、連れて来るでも良いかな?」
プシケ「えぇ、それで良いです。会う事が叶うのであれば」
エロス「それであれば……」
SE 風
プシ姉「プシュケ? 本当にプシュケなの?」
プシケ「お姉さま。信じられないかもしれませんけど、私です」
プシ姉「あなた、山に登ったのよね?」
プシケ「えぇ、登りました。そして、命を絶つべく、飛び降りたんです」
プシ姉「でも今生きていて、そして苦労をしてない」
プシケ「そうですね。苦労をしてないどころか、結婚をして幸せに暮らしています」
プシ姉「結婚したの? と言う事は……ダンナ様は、山の怪物?」
プシケ「そんな事ありませんでしたよ? ……たぶん……」
プシ姉「会えないの?」
プシケ「今は外出しているので。 それと極度の恥ずかしがり屋らしいので、お逢い出来ないと思います」
プシ姉「らしい? 思います? それにさっき、たぶんとも言ったわね」
プシケ「そ、それは……」
プシ姉「ねぇ、あんたの旦那って、イケてる男だったりする?」
プシケ「声はとても優しく、私のことを思ってくれています……よ?……」
プシ姉「声じゃなくて、見た目はどうなの? カッコいいの?」
プシケ「……その……実は……」
プシ姉「なによ?」
プシケ「私も何も知らないのです。 ……声しか聞いたことが無くて、お姿はほぼ見せて頂けない。 触れた事も無ければ、どんなお顔をしているのかを全く知らないの」
プシ姉「ご神託では怪物があんたの夫になる、と言ったじゃない? もしかして、大蛇だったりするんじゃ! だから、姿を見せない。 いや、見せられない! きっとあんたをちやほやして、いつかそのまま食べてしまうじゃないの?」
プシケ「そんな、わざわざこんな良い暮らしをさせてくれているのに?」
プシ姉「きっと美食家で、ストレスの無い美味しい肉を御所望なのよ」
プシケ「……そんなことは……」(人間じゃない可能性を否定出来ない)
プシ姉「今夜、ナイフと明かりを用意して、確かめてみた方がいいんじゃない? もし大蛇だったら、その首を切ってしまいなさいな」
BGM 不安
SE 足音
プシケ「姿を知らぬ旦那様。 とても良くして下さるけれど……化け物だったりするのかしら……」 (不安そうではない)
SE 足音が止まる
SE バサ…
SE キラリン☆
プシケ「な、なんという美しさ!」
エロス「うわっ! み、見た?」
プシケ「見た……」
エロス「なんで?見ないでってお願いしたよね?」
プシケ「その……本当の姿が人間なのかを確認したくて……」
エロス「……! 愛は、疑いと相容れないんだ!」
SE 翻し、エロスが去っていく
プシケ「旦那さまー!! だ、誰でも良いの!私を旦那様の所に連れて行って!!」
BGM 告白
プシケ「旦那様……」
エロス「プシュケ?あなたが何故ここに?」
プシケ「ゼフィロス様が連れて来て下さいました。エロス様」
エロス「僕の正体も知ったんだね?」
プシケ「はい。神様、だったんですね」
エロス「そう。愛と性を司る神なんだ。 そして、その力でもって、あなたに酷い事をした。 この鉛の矢で、美しい男性を嫌悪するようにしたんだ」
プシケ「何故ですか?」
エロス「お母さま、アフロディーテの命令さ。あまりに美しいあなたに嫉妬をしたんだ」
プシケ「人間如きの私に、嫉妬ですか?」
エロス「そんな呪いをかけたときに、手が滑って、僕は僕自身に恋の矢を当ててしまった…… そして、僕は神である事を恨めしく思った。 その姿を見せてしまえば、僕自身がかけた呪いに因って プシュケに嫌われてしまうのだから……こんなに好きなのに……」
プシケ「そうだったんですか……でも、お顔を見ても私は嫌いになりませんでしたよ?」
エロス「え?」
プシケ「もしかしたら、ですけど…… きっと私も、お顔を見ない状態であなたのことを心から好きになってしまったのです。 初めて全身全霊の愛情を感じ、それが大変心地よく、 例え約束であったにせよ姿を見ることが叶わなくても、 近くに存在を感じることが出来ました。 最初にお会いしたら呪いのせいで嫌いになったかもしれませんけど、 あの夜、お顔を見た時にはすでに私は恋する女だったのです」
エロス「そんなことが? でも、人間なのか疑ったのだよね?」
プシケ「そうですね。疑いました。 お姉さまに化け物なんじゃないか、大蛇だったりするんじゃないか?って言われ…… でも、もし何かのバケモノだったとしても好きなままだったでしょう。 あれは、よりそばに近づきたい、あなたを抱き締めたいと言う我儘だったのです」
エロス「プシュケ……」
プシケ「今度は、私から告白します。 もし、まだ魅力に思って頂けるなら、一緒に暮らして頂けませんか?」
エロス「結婚しよう!」
プシケ「アフロディーテ様に許して頂けるでしょうか?」
エロス「きっと簡単には許してくれないでしょうけど……乗り越えましょう!」
プシケ「はい、旦那様♪」
END
※この後、本当に過酷な課題3つをクリアした後、 ゼウスの介入もあって無事に結婚しましたとさ。
エロス キューピッドとも呼ばれる恋心と性愛をつかさどる神。♂
プシュケ 人間の娘で、母である王妃がアフロディーテにも勝ると豪語♀
アフロディーテ『パリスの審判』で神の世界で最も美しいと言われた愛と美の神♀
プシュケの姉 プシュケーの姉で既婚。末っ子のプシュケーの絢爛な生活に嫉妬♀
配役案
エロス・プシュケ姉/川上千尋
プシュケ・アフロディーテ/金元寿子
アフロ「んー……」
エロス「どうなさったのですか?お母さま」
アフロ「ねぇ、エロス……美しいお母さんは好きですか?」
エロス「え? あ、はい! 好きです!」
アフロ「そうよね?じゃあ、ちょっと私のお願いを聞いてくれる?」
エロス「何かあったんですか? なんか、いつものお母さまと雰囲気が違うんですけど……」
アフロ「私は、あのゼウス様さえ認めた『パリスの審判』で、ヘラやアテナに勝ったの」
エロス「だからこそ、最も美しい女神と称えられたのですよね」
アフロ「そう。私が最も美しい!…… なのに最近、『私よりも美しい』と言う人間の小娘が現れたのよ」
エロス「それは凄いですね」
アフロ「そして、事実、私の神殿に見向きもせずに、 その小娘を見るために世界中の人間が集まっていると言う」
エロス「まぁ、お母さまを称える神殿にあるのは絵や像ですし、 やはり生身の人間って言うのが良いんじゃないですか?」
アフロ「私の名誉は、あの人間の娘に奪われてしまうというの!?」
エロス「いやまぁ……そう言うことに……なっちゃうんですかね?」
アフロ「ムキー! あの恥知らずな小娘、プシュケに、不細工な男を恋するようにしむけなさい! キューピッドと呼ばれ、愛を司るあなたなら、造作も無いことでしょ?」
エロス「その娘の名前は、プシュケと言うのですか?」
アフロ「あなたは名前を言わなくて良い!汚らわしい!」
エロス「そうですか……はぁ、これってただの八つ当たりじゃない?……」
アフロ「なーにーかー言ったぁ?」
エロス「あぁ、何でもないですー!!行ってきまーす!」
アフロ「ふふふ……女神の私に勝るなんて、許さないわ……」
エロス「はぁ、やれやれ……いままでも悪戯に恋に貶めたことはあるけれど、 命令されて人の恋路を邪魔すると言うのは、気が進まないなぁ……」
プシケ「くぅ……くぅ……」
エロス「どぉれどれ、御尊顔を拝見しましょうかねぇ…… あぁ、これはお母さまに勝るとも劣らない完璧なプロポーションだ…… この子、まだ誰のものでもないんだよね…… それなのに、不細工な男しか愛せなくするのか……」
プシケ「くぅ……くぅ……」
エロス「お母さまの八つ当たりでこんなことになって、ごめんね」
SE 魔法
プシケ「ん……くっ……んん……んー」(一瞬苦しんだ後、再び寝息を立てて寝る)
エロス「ふぅ……あ」
SE 魔法
エロス「しまった、気が抜けて……あぁ……愛おしい…… ……でも、自分は愛して貰えない……クソッ!!」
SE 姿が消える
プシ姉「ねぇねぇ、聞いた? プシュケがあまりにモテないから、神様に伺いに行ったら、なんと 『プシュケーは人間の誰とも結婚できぬ。 山の頂きに連れて行き、そこにおいてきなさい。山の怪物が彼女と結婚するであろう』 と言う神託を受けたんですって!もはや呪いよね、それ…… え?お前は誰だ?プシュケの姉ですが、なにか? あ、すでに結婚しちゃってるから、惚れちゃやーよ?」
プシケ「私が何をしたと言うの?美しさが罪だと言うの? でも……私自身、男の人にときめく事が無いのよね…… ……それにしても、この景色のなんと素晴らしいことか…… ……まるでココは天国の様だわ。 行ったことないけど……」
回想的に差し込み
エロス「なぁ、お願いだゼフィロス。 山に捨てられるであろう人間の美女を、この森にそっと連れて来てくれないか? 手に入れたいんだ……」
プシケ「誰も愛せず、誰からも愛されない。美しさは時と共に失って行く…… なら、ここでピリオドを打つのも良いのかもしれないわ……」
SE 足を擦る&崖を小石が落ちていく
飛び落ちる
一陣の風
SE 森の中
プシケ「……え? ここは?」
エロス「この館にあるものはすべてあなたのものです。 お好きな時に、お食事と湯浴みをなさってください。 そして、何をするも自由です」
プシケ「え?どこにいるの? 声はするけど、姿が……見えないわ」
エロス「私はあなたの夫です。 しかし、絶対に私を見てはいけません」
プシケ「姿を見る事は出来ない?」
エロス「私はあなたが欲しい。 あなたはココに居る限り好きに生きて良い…… 無理強いは出来ませんが、もし魅力に思って頂けるなら、 一緒に暮らしてくれませんか?」
プシケ「あなたは……私のことが、好き……なんですか?」
エロス「えぇ、『好き』です」(自分の意思か判らないけど、好きなのは間違えない)
プシケ「……私のことを好きと言ってくれる人もいたんだ……」
BGM 幸せな日々
プシケ「おねがいがあるのですが……」
エロス「なんですか?」
プシケ「お姉さんに会わせてくださいませんか? 私はちゃんと幸せな結婚生活を送っていると教えたいのです」
エロス「手紙じゃ駄目なのかい?送り届けさせるよ?」
プシケ「手紙では正しく伝えられる気がしないのです。 安心して貰いたいので、一度で良いので会う事は叶いませんか?」
エロス「分かった。でもあなたを外に出したくない。だから、連れて来るでも良いかな?」
プシケ「えぇ、それで良いです。会う事が叶うのであれば」
エロス「それであれば……」
SE 風
プシ姉「プシュケ? 本当にプシュケなの?」
プシケ「お姉さま。信じられないかもしれませんけど、私です」
プシ姉「あなた、山に登ったのよね?」
プシケ「えぇ、登りました。そして、命を絶つべく、飛び降りたんです」
プシ姉「でも今生きていて、そして苦労をしてない」
プシケ「そうですね。苦労をしてないどころか、結婚をして幸せに暮らしています」
プシ姉「結婚したの? と言う事は……ダンナ様は、山の怪物?」
プシケ「そんな事ありませんでしたよ? ……たぶん……」
プシ姉「会えないの?」
プシケ「今は外出しているので。 それと極度の恥ずかしがり屋らしいので、お逢い出来ないと思います」
プシ姉「らしい? 思います? それにさっき、たぶんとも言ったわね」
プシケ「そ、それは……」
プシ姉「ねぇ、あんたの旦那って、イケてる男だったりする?」
プシケ「声はとても優しく、私のことを思ってくれています……よ?……」
プシ姉「声じゃなくて、見た目はどうなの? カッコいいの?」
プシケ「……その……実は……」
プシ姉「なによ?」
プシケ「私も何も知らないのです。 ……声しか聞いたことが無くて、お姿はほぼ見せて頂けない。 触れた事も無ければ、どんなお顔をしているのかを全く知らないの」
プシ姉「ご神託では怪物があんたの夫になる、と言ったじゃない? もしかして、大蛇だったりするんじゃ! だから、姿を見せない。 いや、見せられない! きっとあんたをちやほやして、いつかそのまま食べてしまうじゃないの?」
プシケ「そんな、わざわざこんな良い暮らしをさせてくれているのに?」
プシ姉「きっと美食家で、ストレスの無い美味しい肉を御所望なのよ」
プシケ「……そんなことは……」(人間じゃない可能性を否定出来ない)
プシ姉「今夜、ナイフと明かりを用意して、確かめてみた方がいいんじゃない? もし大蛇だったら、その首を切ってしまいなさいな」
BGM 不安
SE 足音
プシケ「姿を知らぬ旦那様。 とても良くして下さるけれど……化け物だったりするのかしら……」 (不安そうではない)
SE 足音が止まる
SE バサ…
SE キラリン☆
プシケ「な、なんという美しさ!」
エロス「うわっ! み、見た?」
プシケ「見た……」
エロス「なんで?見ないでってお願いしたよね?」
プシケ「その……本当の姿が人間なのかを確認したくて……」
エロス「……! 愛は、疑いと相容れないんだ!」
SE 翻し、エロスが去っていく
プシケ「旦那さまー!! だ、誰でも良いの!私を旦那様の所に連れて行って!!」
BGM 告白
プシケ「旦那様……」
エロス「プシュケ?あなたが何故ここに?」
プシケ「ゼフィロス様が連れて来て下さいました。エロス様」
エロス「僕の正体も知ったんだね?」
プシケ「はい。神様、だったんですね」
エロス「そう。愛と性を司る神なんだ。 そして、その力でもって、あなたに酷い事をした。 この鉛の矢で、美しい男性を嫌悪するようにしたんだ」
プシケ「何故ですか?」
エロス「お母さま、アフロディーテの命令さ。あまりに美しいあなたに嫉妬をしたんだ」
プシケ「人間如きの私に、嫉妬ですか?」
エロス「そんな呪いをかけたときに、手が滑って、僕は僕自身に恋の矢を当ててしまった…… そして、僕は神である事を恨めしく思った。 その姿を見せてしまえば、僕自身がかけた呪いに因って プシュケに嫌われてしまうのだから……こんなに好きなのに……」
プシケ「そうだったんですか……でも、お顔を見ても私は嫌いになりませんでしたよ?」
エロス「え?」
プシケ「もしかしたら、ですけど…… きっと私も、お顔を見ない状態であなたのことを心から好きになってしまったのです。 初めて全身全霊の愛情を感じ、それが大変心地よく、 例え約束であったにせよ姿を見ることが叶わなくても、 近くに存在を感じることが出来ました。 最初にお会いしたら呪いのせいで嫌いになったかもしれませんけど、 あの夜、お顔を見た時にはすでに私は恋する女だったのです」
エロス「そんなことが? でも、人間なのか疑ったのだよね?」
プシケ「そうですね。疑いました。 お姉さまに化け物なんじゃないか、大蛇だったりするんじゃないか?って言われ…… でも、もし何かのバケモノだったとしても好きなままだったでしょう。 あれは、よりそばに近づきたい、あなたを抱き締めたいと言う我儘だったのです」
エロス「プシュケ……」
プシケ「今度は、私から告白します。 もし、まだ魅力に思って頂けるなら、一緒に暮らして頂けませんか?」
エロス「結婚しよう!」
プシケ「アフロディーテ様に許して頂けるでしょうか?」
エロス「きっと簡単には許してくれないでしょうけど……乗り越えましょう!」
プシケ「はい、旦那様♪」
END
※この後、本当に過酷な課題3つをクリアした後、 ゼウスの介入もあって無事に結婚しましたとさ。
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