〈ミサイル〉の文字が躍る。日本では、どの新聞も、どのテレビも〈ミサイル〉だ。

多少違ったとしても〈事実上のミサイル〉である。これも大して変りはない。

今回の北朝鮮のロケット発射に際して、日本の報道機関は〈ミサイル〉で見事に足並みをそろえている。果たして、それはなぜか。

〈国民の将来無視」と批判 米、北朝鮮の発射継続方針で米国のヌランド国務省報道官は13日の記者会見で、北朝鮮の金正恩第1書記が事実上の長距離弾道ミサイル発射を継続する考えを示したことについて「国民の貧困、飢え、苦しみが深刻化する。国民の将来を気にしていないということだ」と述べ、強く批判した。

(中略)

一方、米政府がミサイルの早期発射を予測していなかったとの見方を否定。発射当日、米政府声明の発表に時間がかかったのは「何が起きたのか正確に評価するために、情報を集めていた」と説明した〉(共同通信/2012年12月14日配信)

発射後も〈ミサイル〉表記は変わらない。

確かに、〈ミサイル〉か〈ロケット〉であるかは、各メディアが判断すればいいことだ。しかし、いつものことではあるが、日本の記者クラブは横並びの報道を繰り返している。それも国内にだけ通じる論理で…。

今回のニュースを海外メディアで(見出し)見てみよう。

〈国連安保理は北朝鮮のロケット打ち上げを非難した(UN Security Councilcondemns North Korea rocket launch)〉(2012年12月12日/BBC )

〈北朝鮮のミサイルへの野望における重要なステップ(Key step in North Korea's missile ambitions)〉(同上)

このように、『BBC』は〈ロケット発射〉と報じ、〈ミサイル〉とは意識的に分けて報じている。

いつもなら、欧米メディアのマネばかりの日本のメディアだが、珍しく独自色を(横並びだが)を発揮しているのだ。不思議なことだ。

そもそも、報道においては〈ロケット〉か〈ミサイル〉の表記は、明確に基準が定められている。本来ならば悩まなくてもいい話なのだ。