メディア界に激震をもたらした『週刊朝日』問題。それからおよそ2週間経った2012年10月30日、元ジャーナリストの上杉隆の番組「夜のズバッ!とマスコミ検証!」が、niconicoで生放送されました。ブロマガ「上杉隆の東京脱力チャンネル」と連動する番組としては第3回目。キャスターに花音(かのん)さん、ゲストに政治ジャーナリストの藤本順一さんとノンフィクション作家の森功(もり・いさお)さんを迎えました。

今回のテーマは、大阪市の橋下徹市長の出自などを報じた『週刊朝日』(朝日新聞出版・10月26日号)の連載記事について。この記事をめぐっては、橋下市長が出版元の朝日新聞出版だけではなく、親会社の朝日新聞社を痛烈に批判。朝日新聞出版は謝罪と編集長の更迭、さらに連載中止に追い込まれました。

番組後半の有料放送部分では、上杉が、橋下市長が朝日新聞の取材拒否した手法について「公人としてちょっとフェアじゃないと私は思いますけど。関係ないところに圧力をかけるわけですから」とした上で、上杉は次のように語りました。

「(圧力をかけられる方が)僕は問題だと思うんですよね。やはりメディア機関であるんだったら、そういうのがあっても、本気でやったんだったら『ノー』と言うぐらいの気概がないといけない」

さらに上杉は、「簡単に(連載を)取り下げるということは、雑誌自体が否定されたというか、自己否定したんじゃないか」と指摘しました。上杉隆の東京脱力チャンネルでは、今後も定期的に生放送をしていく予定です。番組後半の有料放送部分の全文書き起こし記事は以下の通りです。


◆「夜のズバッ!とマスコミ検証!」全文書き起こし(後半)――
(2012年10月30日 ニコニコ生放送「上杉隆の夜のズバッ!と生ステーション」)
出演:上杉隆、藤本順一、森功、花音

上杉隆(以下、上杉):ということでみなさん、こんにちは(笑)。

花音さん(以下、花音):有料放送開始ですね(笑)。

上杉:それでは改めて……。

藤本順一さん(以下、藤本):僕も佐野さんに無断で引用されたことあるんですよ。

上杉:あはは(笑)。

藤本:だから、猪瀬直樹さんの言っていることはすごくよくわかるんです。猪瀬さんが盗用しているかどうかは知らないけども、初期の作品は良い作品が結構あって……。

上杉:いや、誰ですか? 佐野さん?

藤本:猪瀬さんね。佐野さんについては、ダイエーの中内功さんの本(『カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」』)と、ソフトバンクの孫正義さんの本(『あんぽん 孫正義伝』)とか数作しか読んでないし、あんまり興味はないんだけれど。

上杉:ダイエーの中内さんの単行本では、訴えられて、数百カ所訂正要求されて、訂正したんですよね。数百カ所って多いですよね。

藤本:無断引用された側が困るのは、全然別の切り口と問題意識で作っている記事を、自分の世界の中に勝手に当てはめられちゃうと、その事実自体の意味合いが変わってくるということ。こっちではオッケーでも、使われたときにオッケーじゃないことがいっぱいあるわけですよ。だから、そういう時は、事前に「使いたいけど良いか?」「こんな風に使いたいけど良いか?」と言ってもらわないと困る。そっちで訴訟を起こされると、こっちの部分も訴訟の対象になっちゃうから。その辺の緊張感がもう少しあってほしいなあって思いますね。

上杉:佐野さんのみならず、結構、今……。

藤本:上杉君なんか、沖縄に一緒に行った時にトンデモ話があった。

上杉:そう、あれは2003年。もう10年くらい前ですけど。あっ、「およそ」10年前(笑)。

花音:引っ張りますね(笑)。

上杉:琉球新報という新聞の「およそ」110周年を記念したシンポジウムに行ったんです。そこで「およそ」佐野さんと、「およそ」私と、あと当時、琉球新報の編集委員だった前泊博盛さんかな。あともう一方、ちょっと忘れましたけど、放送作家だったかなあ。とにかく、シンポジウムをやったんです。佐野さんと会うのはその時が初めてだったと思います。その夜、沖縄で飲んだんですが、まあジャーナリズム界の先輩だし、こっちはまだ駆け出しですから、佐野さんがどんな取材をしているか知りたいじゃないですか。それで、いろいろ質問したんですよ。その時に、一つびっくりするようなエピソードを話してくれたんですよ。