『週刊文春』の新谷学編集長が突然、3ヶ月の「休養」を命じられた。理由は10月8日号の春画特集、グラビアページに「編集上の配慮を欠いた点があり、読者の信頼を裏切ることになった」からだという。
産経新聞の「週刊誌ウオッチング」にも書いたが、全く理解に苦しむ処分だ。あんなグラビアで編集長が休養なら『週刊ポスト』なんか、しょっちゅう編集長休養だろう。
囲碁将棋でいう悪手。新谷編集長も納得いくまい。松井社長の判断らしいが、狭量と言えば余りに狭量。ちょっとやりすぎじゃないかと、笑って、口頭で注意すれば済む話だ。社の幹部で誰も反対するものはいなかったのか。それも情けない。
詳しくは書かないが、5月の人事で新谷編集長を飛び越して大松副編集長が月刊『文藝春秋』編集長に抜擢されたことも、今回のことに関係あると睨んでいる。
あの特集は今、永青文庫でやっている春画展など、春画ブームで女性たちも堂々と春画を楽しんでいるということを取り上げたもので、現に当該号で林真理子さんも取り上げている。ついでにいうと今月号の『文藝春秋』でも。
年寄り夫婦や若い女性同士が堂々と春画を楽しんでるそうで、ぼくは趣味ではないが、ま、目くじらたてることもあるまい。あんなグラビア、誰も驚きませんって。
スクープに次ぐスクープで週刊誌界、いや不況の雑誌界をひっぱって来た新谷編集長をこんなことで腐らせてはあまりにもったいない。骨のある男だから、自分から辞めると言い出さないかと、それが心配だ。文藝春秋にとっても大きな損失になる。
突然、編集長がいなくなった編集部の混乱が目に浮かぶ。役員二人が慌てて、編集部で陣頭指揮をとっているらしいが、簡単ではあるまい。
一刻も早い処分撤回、これしかない。その方が傷が浅くて済む。
花田紀凱
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