5. メンバーの人間性と運命共同体(つづき)
 
 
 いよいよ、とても大切なことを書きたいと思う。
 
 『X JAPANの今』から『X JAPANとYOSHIKIの輝く未来』が  はっきり見える理由の、もうひとつは、メンバーとバンドの人間性にある。
 
 
 僕はMSG公演を観て、その人間性が生み出した、とても大きな結果に気づいた。
 
 それは、X JAPANというバンドの歴史と運命共同体の存在が、完全に一体化している、ということだった。
 
 一体化しているのは、運命共同体がバンドの歴史をメンバーと同じように背負っているからだ。
 
 では、なぜ運命共同体がメンバーと同じようにその歴史を背負っているのか。

 
 ひとつは前回書いたように、メンバーとバンドの人間性が「嘘がない」ものだからだ。 
 
 いつもいつも、素直で正直に、ありのままをファンにさらけ出しながら、高い志をもとに、音楽に人生を賭け、言い訳をしないで自分自身と闘う、その生きかたで、X JAPANというバンドは長い間歩いてきた。
 
 普通は、あくまでエンターテインメントだけれど、X JAPANのメンバーは、その人生そのものを見せてきた。
 
 その姿を見てファンは、X JAPANというバンドが、決して裏切らないことに気づいたのだろう。
 
 音楽の魅力に加え、メンバーの生きかたにも惹かれ、未来を共に見たいと思った。
 
 そうやって、たくさんのファンが、いつしか運命共同体となっていった。
 
 
 そしてもうひとつ。
 
 16年前、X JAPANに訪れた悲しみが、あまりに辛過ぎたからだ。
 
 その深い悲しみが、X JAPANというバンドの歩みを止めてしまった。
 
 未来が見えなくなってしまった。
 
 
 しかし、運命共同体はその足を止めなかった。
 
 
 来る日も来る日も、未来を信じて、何度も何度も繰り返し、大切な作品を聴きながら、未来を待った。
 
 もちろん悲しみは消えない。
 
 けれど、運命共同体は明日が来ることを信じた。