前回お伝えしたように、1987年に僕は『 YOSHIKIが名曲をちゃんと生むことのできる、
選ばれた本当の天才だ』と気づきました。
 しかし当時それに気づいていた人は、おそらく皆無に近かったでしょう。 

 ビジュアル系という言葉がまだ存在しなかった時代で、ロックといえばBOØWYが一番
新しい存在、という雰囲気だった頃、派手なメイクとウニのトゲのようなヘアー、轟音で
BPM200近くのスラッシュメタルビートを炸裂させながら演奏し、叫ぶバンドでしたから、
無理もありません。

 そもそも当時のXには、音楽シーンの中で「派手なパフォーマンスばかりが目立つ音楽性
に欠けた歌謡ロックバンド」という酷い評価すらあったのです。
 面白いもので、Xの最も重要な要素である音楽性の高さが、最初の頃は全く評価されてい
なかったのです。

 その「Xが周りから評価されない理由」と、
ちょうどその反対の「僕にはXの未来が観えていた理由」は、
実はまったく同じでした。

 「オリジナリティ」です。

 当時のXが音楽的に評価されなかったのは、
「誰にも似ていなかったから」です。
 そして、僕がXの未来とYOSHIKIの才能を確信したのは、
「誰にも似ていなかったから」です。