あの頃の僕がメンバーと共闘を続けていた時、僕のエネルギーの源になっていたものは、やはり「音楽への想い」だったのだろう。
 
 今の僕が音楽家で、当時の僕が音楽ディレクターという立場だったのだから、当たり前だと思われるかも知れない。
 
 けれど、僕はこれまで「すべての始まり」から最新刊の「伝説のライナーノーツ」に至る様々な本の中で、メンバーのピュアな人間性や、ステージで展開されるメンバーとファンがひとつになる凄まじいエネルギー、メンバー自身の音楽への想いの強さ、そしてXというバンドを若い人たちに届けたいという情熱などが、僕が命懸けで過ごした共闘の理由だ、ということを書いてきた。
 
 決して音楽だけではないし、実際それは間違いない。
 
 そもそも、僕が毎日見つめていた「Xという物語」はあまりにも大切なことの連続で、僕の人生にとってもかけがえのない宝物の時間で、そんな毎日で起きる出来事やメンバーの姿、そんな毎日を生み出しているXというバンドの凄さや素晴らしさについて克明に記していきたい気持ちが溢れているのだけれど、常にメンバーと共に前進する以上、そのような時間がないから、僕はそんな毎日を心に刻みつけていった。

 そしていつか必然だと思う時が来たらそれを文章にしよう、と僕は決めていて、周りにも「僕はプロデューサーであると同時に本を書かない作家なんだ」と伝えていた。
 
 ただ、今回僕が見つけたかった答えは、そのさらに奥に存在していた僕自身のエネルギーについてだ。

 輝く日々を、ただ見つめるのではなく、ただ感動するのではなく、共に闘う。

 その闘いへ僕を導いたエネルギーが何だったのかを知りたくなったのだ。