音楽プロデューサー 津田直士の 「人生は映画 主人公はあなた」

『Innocent Eyes』 93〜「サラ・ブライトマン イン・コンサート」プレミア上映を観て

2019/10/08 11:49 投稿

コメント:2

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 大切な友人がチケットをプレゼントしてくれたので、「サラ・ブライトマン イン・コンサート」プレミア上映を観ることができた。
 
 2003年、僕にSony Musicから楽曲提供とプロデュースの依頼があったアーティストが、レパートリーとして歌っていたのが「Con te Partiro(英題:Time To Say Goodbye )」だった。
 
 プロデュースを進めるためにアンドレア・ボチェッリの原曲を聴いているうちに、サラ・ブライトマンによるヂュエットバージョンの「Time To Say Goodbye」に辿り着き、あの聞き馴染みのある美しい歌声がサラ・ブライトマンであることを知った。
 
 その美しい声に感動した僕は、それからサラ・ブライトマンの作品を聴くようになった。
 
 
 
  約1年前、サラ・ブライトマンとYOSHIKIの「MIRACLE」共演、というニュースを知った時、僕はその組み合わせの素晴らしさに、膝を叩く思いだった。
 
 あまりにも相性の良い組み合わせだと思ったからだ。
 
 ポップスとクラシックがクロスするシーンで世界の頂点にあるサラ・ブライトマンと、ロックスターでありながらオリジナル作品でクラシカルスタイルでの音楽を世界中へ発信しているYOSHIKI、という組み合わせの妙。
 
 コロンブスの卵のように、知らされると腑に落ちる。
 
 そして、その組み合わせの妙が、YOSHIKIのオリジナル作品をサラ・ブライトマンが歌う、という結果を生み出したことは、とても嬉しく誇らしいことだった。
 
 今のYOSHIKIが、世界の音楽シーンでのように存在しているのか、とてもわかりやすく伝わる結果だからだ。
 
 
 
 音楽は競争ではないし、本来、評価やビジネスとは別のところにあるけれど、本当に素晴らしいものは長い間、多くの人たちに愛され続ける。
 
 作品によってはその業績に「世界一」という形容詞がつくサラ・ブライトマンの音楽的な素晴らしさは、業績に美しく投影されていると思う。
 
 実際、僕も1人の音楽ファンとしてサラ・ブライトマンの歌声に感動してきた。
 
 ただ、実際にコンサートでサラ・ブライトマンの声を聴いたことがない僕にとって、サラ・ブライトマンが歌う姿を映画館できちんと鑑賞するのは、とても貴重でありがたい機会だと思った。
 
 チケットをプレゼントしてくれた友人に深く感謝して、僕は映画館の席についた。
 
 大きなスクリーンに映し出される美しいステージと、あまりに素晴らしすぎて「完璧」という言葉が浮かぶ音楽に耳を傾けているうちに、そのクラシックとの接点を持つ独特な世界が、そのまま最も芸術的なポップスであることに気づいた。
 
 それはちょうど、僕自身が理想とする音楽の世界でもあった。
 
 「完璧」という言葉が浮かぶのは、きっとそのためなのだろう、と僕は思った。
 
 だから、どの曲を聴いていても、僕個人としてはそこにとても尊いメッセージを感じ、受け取ることができた。
  
  それは、日本の狭くて偏った音楽シーンの中にいると感じる居心地の悪さから「芸術を心から楽しむ心」と共に開放してくれる、可能性の限界を感じない自由さと、快感が細胞を豊かにしてくれる本物の感動だった。
 
 このような素晴らしい芸術を心から楽しむ時、僕はいつも責任ある音楽のプロデューサーではなくて、まるで女子高生の一般ユーザーのようになる。ちょうど素晴らしい映画を観ている時のように。
 
 その耳と目と心は、本物の芸術が伝えてくれる「目に見えない心に響くメッセージ」と「心と細胞を震わせてくれる美しさ」だけを素直に受け取る。
 
 そして、感動しながらそのメッセージや美しさを心と身体に取り入れているうちに、だんだん自分が表現をしているアーティストと一体化していくのを実感し始める。
 
 心と身体が観て聴いている美しいものと一体化しながら、何か大きくて優しい愛のようなものに包まれていることに気づく。
 
 ああ、こうして今夜もまた、素晴らしい芸術に新しい光をもらったんだ。
 
 やっぱり自分が今、生み出している芸術もまた間違っていないんだ。
 
 素晴らしい芸術を信じていく先に、きっと人類の輝く未来は待っているんだ。
 
 そんな風に陶然となりながら、一曲一曲を大切に味わっているうちに、突然世界が変わった。
 
 正確に言うと、世界が変わったのではなくて、それを観る自分の受け取り方が変わったのだ。
 
 なぜならそこに、YOSHIKIがいたからだった。
 
 初めてきちんと受けとめる、新しい芸術の世界に陶然となっていたところへ、とても深く知るYOSHIKIが、サラ・ブライトマンと共に手を取り合いながら登場したのだ。
 
 それまでサラ・ブライトマンが放つオリジナルな映像世界に心を委ねていたので、そこに自然と溶け込みながら、YOSHIKIらしい世界が共存する有様に、僕は衝撃を受けた。
 
 サラ・ブライトマンとYOSHIKIの組み合わせの妙、などと言葉で確認していた感覚が一瞬で吹き飛ぶような一体感に、僕は衝撃を受けたのだった。
 
 けれど、その一体感は、このコラボレーションが見せてくれた感動の、まだ第一歩だった。
 
 YOSHIKIがピアノに向かって座り、祈るように手を合わせると、「Miracle」の演奏が始まった。
 
 その美しさに溢れた芸術を心と身体で感じ始めた瞬間、僕はそのことの意味の大きさに押しつぶされそうになった。
 
 それはある意味、当然のことだけれど、まだ20代前半でインディーズバンドのドラマーだった頃のYOSHIKIを知っている僕にはあまりにも心を揺さぶられることだった。
 
 なぜなら、世界に愛され尊敬されるサラ・ブライトマンの芸術と一体化しながら、そのサラ・ブライトマンの世界をさらに大きく包みながら新しい美しさを奏でているのが、YOSHIKIの生み出した芸術作品だったからだ。
 
 あの、血が滲み出るような毎日の中から芸術を生み出し、命を賭けて走り続けながら成功を手にしてもそこに安住することなく世界へ向かい、その直後に地獄のような悲しみと苦しみに襲われ、それでも単身世界へ音楽を発信するための日々をひたすら送り続けたYOSHIKI。
 
 自分自身と音楽の力を信じ続け、長い時間をかけながら少しずつ、自らの芸術を世界に伝えるための土台を築いてきたYOSHIKIが、今ごく自然に、サラ・ブライトマンという世界中に愛され尊敬されるアーティストの世界観を、その圧倒的なオリジナリティで包み、支えているのだ。
 
 そんな感動を「MIRACLE (Sarah’s Version) feat. YOSHIKI」がリリースされてから1年近く経った今、改めて深く僕の心と身体を包んでくれたのは、僕がYOSHIKIを見つめる視点からではなく「サラ・ブライトマン イン・コンサート」という素晴らしい芸術作品に陶然としている中からYOSHIKIを見つめたからに他ならない。


 
 サラ・ブライトマンが伝えてくれる、素晴らしい芸術をきちんと感じ取ることができた結果、僕は再び今のYOSHIKIが世界のどこに存在しているのか、正しく理解することができた。
 
 それは、30年以上の長い時間を費やしながらYOSHIKIが命懸けで紡いできた音楽人生の、ひとつの大切な答えなのだ、と思った。
 
 映画を全て観終わり、流れるエンドロールに刻まれた「Music YOSHIKI Words YOSHIKI」というクレジットを見つめながら、僕はそう思った。
 
 

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津田直士

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コメント

30年前のインディズ時代のYOSHIKIさんはYouTubeでしか知らず今のYOSHIKIさんとは重ならない私です。
津田さんのブログをよんで、才能だけではなく、努力もしてきたし、苦労、苦悩の上に今のYOSHIKIさんがあるんだとわかりました。
ずっと見てきた津田さんだからこそ、私達がカッコイイとか好きとかいう次元とは違う、素晴らしい姿を見てきてるんですね。

No.1 24ヶ月前
userPhoto 津田直士
(著者)

>>1
ありがとう。素敵なメッセージ、嬉しいです。

No.2 24ヶ月前
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