音楽プロデューサー 津田直士の 「人生は映画 主人公はあなた」

『Innocent Eyes』52〜作品を創りあげる という奇跡について

2018/11/28 12:20 投稿

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 作曲という行為は、とても不思議だ。

 他の人についてはわからないけれど、少なくとも僕にとっては。

 僕の場合、心の底から今、聴きたい音楽をイメージする。

 自分の自由であるオリジナルプロジェクト、例えば今の僕ならツダミアの場合も、ソニーミュージックや映像制作プロジェクトなど、第三者からオーダーされた場合も、同じように。

 目の前に出現して欲しい音楽作品を明確にイメージしながら、自分の潜在意識に問いかけ続ける。

 心が動き、感動し、その作品と出会えた喜びを先取りしながら、望む音楽を湧き立たせようとエネルギーを込めて、色々な方面からイメージの細胞を刺激しているうちに、自分の中のオリジナル作曲神経が目まぐるしく動き出し、ある程度の時間それを続けていると、突然心の中に、全く新しいメロディーとそのメロディーを支える和音やリズムが同時に現れる。

 それが本当に素晴らしいのかなんども繰り返し心の中でプレイバックして、間違いない、と確信すると、それを音源化する作業へ移る。

 ピアノや簡単な打ち込み環境があれば、ほんの数10分で他の人もその音楽を聴ける状態になる。

 その音源を改めてプレイバックして聴いてみる。

 間違いない、素晴らしい作品だ。

 それを確認して、安心する。

  

 さて、最初に「作曲という行為はとても不思議だ」と書いたのは、この段階でその作品が「一人歩き」を始めるからだ。

 僕の心から生まれたはずなのに、その作品はもう僕を離れて、一人前の作品として、人に伝わったり人の心を動かしたり人に影響を及ぼしたりする。

 生み出したはずの僕は、それを眺めながら作品の持つ力に感動して泣き、心震わせながら、その作品がより深く正しく人に伝わるよう、構成やアレンジの作業を始める。

 その時、僕の中に「自己愛(=ナルシズム)」や「我欲」のようなものは存在しない。

 あたかも、誰か他の素晴らしいアーティストが生み出した作品を味わうような幸せな境地に至り、喜びでいっぱいになる。

 また、こんな境地に至っているので、平気で他の人に聴いてもらえる。

 恥ずかしい、といった感情などとは無縁だ。
 
 聴いている人と一緒に、素晴らしいねえ・・・などと感動しながら聴くことができるのだ。



 以上のような作曲についての感覚は、あくまで自伝などの書き記されたものから、ではあるけれど、実はジョン・レノンやポール・マッカートニー、そしてドン・ヘンリーなども同じようなことを伝えている。

 そして僕の知る限り、YOSHIKIも同じだ。
 

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