音楽プロデューサー 津田直士の 「人生は映画 主人公はあなた」

『Innocent Eyes』 19〜「YOSHIKI復活の夜」Zepp DiverCity初日を観て

2018/04/12 01:55 投稿

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【開場前】

関係者入口から、まだ開場していないZepp DiverCityへ入ると懐かしい音が聞こえた。
機材トラブルで時間が押して、まだサウンドチェックをしているようだ。

YOSHIKIのドラム復活を生のステージできちんと見届けるためにここへきた。
だからファンと共に、ステージが始まる瞬間を観るつもりだった僕は、懐かしい音に惹かれて近づいた扉を開けるかどうか迷った。

しかし誘惑には勝てない。思い切って扉を開ける。

中へ入ると、懐かしいサウンドチェック独特の空気感が身体を包む。マイクを持ったYOSHIKIが、早口の英語でスタッフに指示を出している。
『WE ARE X』のシーンそのままだが、英語を日本語に置き換えると今度は30年前の懐かしい光景と重なる。

思わずPA卓を探してしまう。30年前の僕だったら、会場中あらゆる場所で音を確認し、エンジニアにオーダーを重ねていくだろう。そう思うと、少し身体に力が入る。

いや、力を入れる必要はない、僕はあくまで見学者なんだ。そう自分に言い聞かせないと身体があの頃に戻ってしまう。それほど、アリーナではない空間で行われるXのライブは特別なのだろう。

ふと予感がしてステージに視線を戻すと、ちょうどマイクを置いたYOSHIKIが突然ドラムを叩き始めたところだった。

驚いたその瞬間の僕は、きっと呆けたような顔をしていただろう。
ただの復活ではない。そのドラミングがあまりにも軽やかで、まるで夢を見ているようだ、と本気で思った。

ほんの少しでドラムを止め、ピアノへ向かうYOSHIKIの背中を見た途端、視界がぼやけた。
 

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