音楽プロデューサー 津田直士の 「人生は映画 主人公はあなた」

『想いのすべて 0401』 ~タイムスリップ、そして『 Xと出会ってくれてありがとう・・・』という言葉

2017/04/01 15:30 投稿

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映画『WE ARE X』がX JAPANの歴史を刻んでいることから、上映を機に、様々なファンとの出会いがあったり、懐かしい人と再会してお互いの記憶を共有・確認するなど、嬉しいことが続いている。

特に僕の場合は、1987年から1993年というX初期の記憶が濃密であるため、大切な時間について会話するたびにタイムスリップをする、という状態が最近よく起きる。

思い出せば思い出すほど、本当に熱く、濃い時間を過ごしたものだ、と感じ入ってしまう。

また、そんな会話をするたびに、話す相手の人生が、Xというバンドに大きく支えられ、強く影響を受けている、と感じる。

先日も、ある人と1989年当時からの記憶を共に辿っていて、完全にタイムスリップしてしまった。



その人は当時まだ中学1年。

まさに多感な時期に差しかかった瞬間、Xと出会ってしまった。


実はその人がXと出会った瞬間から、どんどんXに惹かれていく記憶が、きちんとある形で残されていたので、それを共有しながら一緒に記憶を辿ったのだ。

正確な日付もきちんと残っているので、それはもう、完全なタイムスリップ。

その人の、Xと出会った衝撃が、リアルな息づかいと共に体に染み込んでいく。

そのライブ会場には僕も当然いたから、プロデューサーをしていた僕なりの視点でその様子がフラッシュバックしていく。

そして、途中から僕は深い感動に包まれていた。




実のところ、その人は今、色々なアーティストの姿を伝える仕事をしている、メディアのプロフェッショナルだ。

仕事に関するデータも見せて頂いたが、どのアーティストに関しても、愛情と確かな観察眼でその魅力を正確に伝える、素敵な仕事をされている。

音楽やアーティストを本当に好きなんだ、ということがしっかり伝わってくる内容ばかりだ。




そして一方、その時タイムスリップしながら共有している記憶は・・・というと、間違いなく13才の、瑞々しく、輝きに満ちた想いで溢れるものなのだ。

では、僕がなぜ深い感想に包まれたのか・・・




それは僕が『タイムスリップしたから』なのだ。

タイムスリップした僕には、13才のその人がちゃんとイメージできた。

そして僕はその人が観ているライブの、その場にいる・・・。


東京から遠く離れた地方都市のあるライブ会場で、13才のその人が、まるで恋に落ちるように一瞬にしてXのとりこになる様子

それから家に戻って、新しく出会ってしまったとてつもない衝撃を何かに残したくて、きちんと書き残している姿

それから日を追うごとにXへの、そしてメンバーへの想いを強くしていき、その溢れる気持を日々、記録する有様

懸命に情報を集め、メンバーの体調に一喜一憂し、頑張るメンバーを想うと、自分の頑張りがまだまだ足りない、と奮起する心の中・・・

それぞれが、手にとるように僕にはわかった。


それから30年間弱、その人はずっとXへの想いを絶やさず持ち続けてきた。

途中からその強い想いが力となって、その人はXにもつながる、ある仕事のプロフェッショナルとなった。

そうしてそのことがきっかけで、僕とその人はタイムスリップをして再び1989年のある時期を共にしている。

もちろん、その場所には27才の僕もいるのだ。




27才の僕は、とても当然のこととして、1989年の、まだ若干13才のその人に心の中で伝えた。

『Xと出会ってくれてありがとう。Xを好きになってくれて、理解してくれて、ありがとう。これからも、ずっとずっと僕たちと一緒にいてね。Xをずっと見守っていてね』と。




そうして、僕ははっきりと思い出したのだ。

あの頃、どんな会場でも・・・

開演前に会場で列をなすファンのそれぞれの様子に

ライブが始まった瞬間、
持っているすべてのエネルギーを大好きなメンバーに向かって炸裂させる、その姿に

ライブを経て、いつの間にかメンバーと完全にひとつになって、Xジャンプをしている、その笑顔に

時には泣きながら、心の中で叫んでいたことを。

『Xと出会ってくれてありがとう。Xを好きになってくれて、理解してくれて、ありがとう。これからも、ずっとずっと僕たちと一緒にいてね。Xをずっと見守っていてね』と・・・。




映画『WE ARE X』は、本当に魔法だ。

30年という長い時間を、一瞬に超えさせてくれる魔法だ。

その魔法のおかげで、僕はタイムスリップを続ける。

Xと人生を共にした人と出会う限り。


何度でも、何度でも。

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