医療の質を落とさずに無駄な医療費を削っていこうと問題提起したところ、医療費を削れば医療の質になにがしかの影響を及ぼすものだから、慎重にというご意見をいただきました。

実は、医療の質を落とさずに医療費を削った実績があります。

抗がん剤の残薬問題です。

残薬というと、処方された薬を飲み切らずに家で余っているもののことだと思うかもしれませんが、薬瓶のなかに粉末状の薬があらかじめ入っていて、投与するときに生理食塩水などを加えて溶かして使うバイアル製剤になっている高価な抗がん剤に関する問題です。

こうした抗がん剤の中には、患者の体重によって投与量が決まるものがあり、溶かした薬がすべて使われずに一部がバイアル(瓶)の中に残ってしまいます。

慶應大学の岩本隆特任教授の試算によれば、2011年7月から2012年6月の間にバイアル製剤として提供された抗がん剤のうち、病院内で溶かしたけれど使われず、残薬となっ