このところ、確定拠出年金のメリットについてお話をしてきましたが、今日はその最大のメリットについてお話をしたいと思います。
それは「運用に関わるコストが低いため、お金を増やすのには最も適している」ということです。
資産形成の敵
資産形成をする上での最大の敵、それはコストです。コストというのは具体的には税金と手数料のことを言います。
そしてそれらは、長い期間になればなるほど差が大きくなってきます。
具体的に数字を見てみましょう。
例えば毎月1万円ずつ、積立を38年間続けたとします。(大学卒業後の22歳から定年の60歳まで)積立総額は456万円です。
仮に積立を続けながら年利3%で運用したとすると、税金を引いた元利合計額は約658万円になります。ところが、もし税金が全くなかった場合、元利合計は約829万円となり、その差額は171万円にもなります。
今度は手数料を考えてみましょう。
この場合の手数料というのは、投資信託で運用した場合に元本から差し引かれる「信託報酬」といわれるものです。この信託報酬というのは投資信託によってもかなり開きがありますが、普通に銀行や証券会社で売っている投資信託の信託報酬が仮に年1.5%だと仮定します。
一般的に確定拠出年金で採用されている投資信託は手数料が安いのが特徴なので、年0.2%程度のものもたくさんあります。
さきほどと同じ前提で38年間運用を続けた場合、支払う手数料の累計がいくら位になるかというと、年1.5%の場合の累計支払手数料額は約133万円、ところが年0.2%の信託報酬の場合ですとその累計額はわずか18万円。こちらの差額は115万円ほどになります。
両方を合わせてみましょう。
課税で高い手数料と非課税で安い手数料を比べると、286万円となります。積立元本が456万円ですから、なんと元本の6割以上に相当する金額の差が出てくるという恐るべき結果になっています。
確定拠出年金では運用の結果、出た利益に対する税金は無税です。しかも購入手数料は無しで、毎年徴収される信託報酬も銀行や証券会社で一般に売られている投資信託に比べると半分か三分の一といった非常に安いものが多いですから、長年に亘ってこれを利用するかしないかは、非常に大きな差となって出てきます。
老後資産を準備するための最高の方法だということがお分かりいただけたでしょうか。
そう、お金を増やす最も効率の良い方法がこんなところにあったということなのです。