いつもは手元のスマホ周辺や身近なテクノロジー用語を解説している「おは用語」ですが、今朝はちょっと趣向を変えて近未来的な話題を紹介していきますよ。最近ちょっとニュースとして取り上げられている、宇宙空間にソーラー発電所を作ろうという「宇宙太陽光発電」。ここで作られた電気を地上に届けるのにも使われる気配のある「無線送電」について知っておきましょう。
どうやって電気を無線で送るの?
電気を送るための仕組みとして一般的なのは、屋外でも屋内でも電線(ケーブル)を使う方法ですよね。しかし、スマホやタブレットの世界ではすでに置くだけ充電(非接触/ワイヤレス給電)の『Qi(チー)』などがあったり、電動歯ブラシやApple Watchにも同じような仕組みがあります。
しかし最近話題となっている無線送電技術はQiのような近距離ではなく、かなり長距離での送電を目的としたもの。電気を電子レンジ等で使われるマイクロ波やレーザーにかたちを変えて飛ばし、受信側でそれを再度電気に戻すというプロセスになるのだそう。
送電装置(左)と受電装置(右)。三菱重工のリリースより
先日、三菱重工業とJAXAがマイクロ波化した10kWの電力を500m離れた受電ユニットに送信したとして注目されましたね。まるでSFのような世界が現実になってきているのを感じます。
そもそも宇宙でソーラー発電する理由って?
JAXAの資料「福室康行 宇宙での太陽光発電、実用化に向けて」より
さて、こうした無線送電技術は、宇宙太陽光発電システム(Space Solar Power System:SSPS)での利用を視野に入れたものと言われますが、どうしてわざわざ宇宙でソーラー発電をするのでしょう。JAXAによれば、
天候や季節、昼夜にほとんど左右されることなく太陽光が照りつけますので、とても効率よく太陽光エネルギーを集めることができます。エネルギー源が太陽なので、天然ガスや石油などと違って枯渇する可能性がほとんどなく、太陽がある限り続けることができるのです。また、宇宙空間で発電しますから二酸化炭素の排出は受電施設のみであり、非常に少なく、地球環境にも優しいと言えるでしょう。
とされ、地上での太陽光発電の弱点を解消したクリーンなエネルギー源として研究が進められているようです。しかしその一方、宇宙への輸送手段やメンテナンス、そしてなにより今回取り上げた無線送電のマイクロ波やレーザーが、人の健康や地球環境、電子機器等に悪影響を与えないよう配慮する必要があるとして、まだまだ課題は多いのだそう。とはいえ、今後の発展が気になるところですね。
それでは今日も一日、スマートに! いってらっしゃい!
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