本日のITコント。
本日、スペイン版「Google NEWS」(日本版はこちら)が閉鎖され、スペインの新聞社のアクセス数が激減する事態となっています。ITニュースメディアのTechCrunchが伝えていました。
いったいなぜこんなことに? と思いますが、これはほぼスペインの自爆といえます。なにせ、スペイン政府が、Googleから税金を取ろうとした結果なのですから。
Googleとスペインの間で、一体何が起きたのでしょうか。簡単に解説いたしましょう。
スペインの「Google税」
現在スペインでは新しい法律が可決され、2015年1月から施行される予定となっています。通称「Google税」などと呼ばれるこの法律は、Googleが多額の税金をスペインに収めなければならなくなってしまうものです。
具体的には、スペイン国内のニュース記事のリンクや引用を使用する場合、スペインの新聞業界団体に税金を収めさせるという法律。個人サイトなどではこの義務は発生せず、「Google NEWS」のような企業が運営するサービスの場合のみです。
ちなみに、「Google NEWS」のようなさまざまなサイトのリンクを集めて一つのサービスとしているものを、「アグリゲーションサービス」と呼びます。「Google税」は、この「アグリゲーションサービス」を課税対象としたものでした。
おそらくですが、本法によってスペイン政府は、Googleから多額の税金を徴収できるという目算があったのだと思います。スペイン一国という巨大な市場を、Googleがまるごと捨てるようなことはないと思っていたのでしょう。
「Google NEWS」まさかのスペイン撤退
しかし、スペイン政府の目論見は、見事に外れます。Googleは、「Google NEWS」をスペインから撤退するという、予想外の行動に出たのでした。
一体なぜ、Googleはここまで大胆な施策を打ったのでしょうか。
簡単にいうと、「Google NEWS」は広告などを一切出しておらず、全く利益を上げていないサービスであるため。税金がかかれば、サービスが成り立たなくなるからということです。
Googleの公式ヨーロッパブログにて公式なコメントが発表されていますので、詳しい事情はこちらをどうぞ。
そして本日16日、実際に「Google NEWS」からスペイン国内のサイトはすべて表示されないようになりました。同じく本日16日に出たのが、冒頭の「スペイン国内のニュースサイトが悲鳴を上げている」というニュースです。
即死。それは、あまりにも早過ぎる死でした。閉鎖初日でのギブアップです。何やってんだこいつらは。
以前にも似たようなことが
実は、10月にも似たような事例がありました。
ドイツのメディアがGoogleに、「検索結果に表示するたびに金銭を支払うように」という訴訟を起こしたのです。Googleは対抗措置として、相手メディアを検索結果からすべて弾くようにしました。
その結果、訴訟を起こしたメディアはアクセス数が激減し、経営が一瞬にして傾くほど深刻な影響を受けてしまいます。結局、およそ2週間で訴訟を取り下げ、元の状態に戻してもらいました。
本件に関しては、検索エンジン業界ニュースメディアのSEMリサーチが詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
こんなにわかりやすい前例があったのに、なぜスペインは同じ過ちを繰り返したのでしょうか...。
すでにスペインの新聞業界団体は、Googleの閉鎖を取りやめてもらうように動いています。施行されるはずだった新法は、取り下げられることになりそうですね。
Googleは強い。改めて、そう確信したニュースでございました。
[via GIGAZINE,CNET Japan]
画像1,画像2[Wikipedia]
Photo by Thinkstock/Getty Images
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