年金はとてもわかりにくいという人が多いです。事実わかりにくいと思います。私もサラリーマン生活の最後の 10 年間は年金にかかわる仕事をしてきましたが、最初の頃は本当にわかりませんでした。
人事異動で「年金部門」に来たわけですが、年金のことは全く知識がありません。部門の先輩に聞いてもあまり要領を得ないので書店に行って『世界一わかりやすい年金の本』というのを買ってみましたが、読んでみてもさっぱりわかりません。
『サルでもわかる年金』
そのうち、ついに出ました! 『サルでもわかる年金』。ところがこれを読んでもまだわからなかったのです(笑)
「自分はサル以下なのか?」という自己嫌悪に陥りながらそれでも勉強を続けていき、数年後には少しわかるようになってきました。恐らくみなさんもちょっと年金の勉強をしようと思って本屋で買ってみても「わからなかった」という経験をされた方がいるのではないでしょうか?
私は数年経って、少し年金のことがわかるようになってから「なぜ、年金がわかりにくいのか?」を考えてみました。すると思いがけない理由が見えてきました。年金をわかりにくくしている最大の理由、それは「年金」という言葉だったのです!
誤解の元凶は「年金」という言葉
年金には国から支給される公的年金に加えて、サラリーマンであれば、会社から支給される企業年金があります。これら二つは制度も仕組みも全く違うものであるにもかかわらず、同じ「年金」という言葉が使われているためにとても紛らわしいのです。
この両方がごっちゃになっている人がたくさんいますし、テレビのニュースを見ていると、キャスターでさえ、よく理解していないと思われる発言もしばしばあります。簡単に言ってしまえば公的年金は「社会保障制度」であり、企業年金は「給料の後払い」なのです。
これがアメリカの場合だと、公的年金はSocial security、企業年金はBenefitと言いますから、小学生でも二つが違う制度だということがよくわかります。
しかも名前が実態を良く表しています。ところが日本の場合、同じ年金という名前を使っていることから二つがごちゃごちゃになっている、これが年金をわかりにくくしている最大の理由です。
そんなわかりにくい年金のことを整理して、わかりやすくお話しようというのがこのコラムです。年金のプロではなく、普通のサラリーマンの目線と知識でも十分理解できるようにこれから解説していきます。