かわいい犬が2足歩行でスマホ。流れるのは昭和を思わせるようなBGM。一度見るとなぜか忘れられないCMをご覧になった方も多いのではないでしょうか。
このCMを流す「めちゃコミック」とは、携帯電話やスマホで漫画を配信するサービス。CM中でも「0.1秒に1人が読んでいる」と言っている通り、月間ユニーク来訪数が500万人、「国内最大級」の規模を誇ります。
今回、タブロイド編集部では、めちゃコミックの「なかのひと」に突撃。サービスの特徴やCMの裏側、電子コミック全体の話までいろいろと伺ってきましたよ!
お話を伺ったのは、めちゃコミックを運営している株式会社アムタスの恵美滋之さん(TOP写真左)と吉井美有さん(同右)です。
めちゃコミックを支えているのは恋する女性?
――まずはめちゃコミック全般について伺います。一般的に、紙のコミックは男女ともに読んでいるイメージですが、めちゃコミックはどういうユーザーが読んでいるのですか?
恵美:ユーザーの6割以上、およそ3人に2人が女性ユーザーですね。年齢は20~30代が中心です。
――ということは、読まれる漫画も女性寄りですか?
恵美:そうですね。少女漫画、特に恋愛要素のある漫画の人気が高いです。一般的な少女漫画雑誌に載っているような漫画ですね。
吉井:ユーザー自体は20~30代ですが、読まれるのはもっと若い人向けの漫画です。学園ものなどの人気が高いですよ。学生時代の気持ちを思い出して読んでいるのかもしれません。
――紙と電子で人気傾向の違いはありますか
恵美:あまり感じないですね。紙のコミックで読まれる作品は、電子コミックでも読まれます。映画化やドラマ化などが決まった作品が読まれるのも紙のコミックと同様です。
吉井:一方で、デジタル発で人気に火が付いた作品もありますね。めちゃコミックでは毎週特集枠を組んでテーマに沿った作品をラインアップするのですが、そこで発掘した作品がその後に紙で人気になることもあります。他にも、電子コミックオリジナル作品もあり、それが人気になることもありますよ。
恵美:毎週の特集にはかなり力を入れていて、初めてサイトを訪れた人にも分かりやすいように心がけています。ぜひ一度見ていただきたいです。
なぜ犬を?「めちゃ犬」起用の経緯とは
――次に、現在放映しているテレビCMについて伺います。一度見たら忘れない印象的なCMですが、あの犬を使うというのは当初から決まっていたことなのですか?
恵美:決まってなかったですよね(笑)
吉井:ぜんぜん決まっていませんでした(笑)。インパクトを残せるように、ってことしか決まっていませんでしたね。
恵美:社内で議論するうちに、まず動物を使おうということが決まりました。しかし、その時点でも犬だけじゃなく、さまざまな動物が候補でしたね。
吉井:猫好きの社員は「猫がいい」って言っていましたし。
恵美:最終的には顔のインパクトもあってあの犬に決まりました。
――ちなみに、まだ公開されていないめちゃ犬の秘密があれば教えてください
恵美:めちゃ犬、太ったんですよ(笑)。
吉井: 1本目のCMと2本目のCMを比べると首回りが全然違うんですよ。そのへんを注目してみてもらうとより親近感がわくかもしれません。
なぜテレビCMを?
――めちゃコミックだけでなく、最近はウェブのサービスやアプリがテレビCMを流すことが多くなりました。いずれもウェブでは有名になったものがテレビCMに攻め込んでいるイメージですが、ウェブ広告でなくテレビCMへ舵を切ったのには理由があるんでしょうか?
恵美:うちの場合だと、これまでにウェブで広告を出してきて、社内には「サービスをさらに広げるには新しいところへ出ていくべきではないか」という声がありました。ウェブ広告だけでは、これまで伝えきれなかったことがあるのではないか、と。そんな中でテレビCMという選択肢が出てきました。
――実際放映されて、反響はどうでしたか
吉井:おかげさまでCM好感度が非常によく、サービスの認知度向上に効果があったと感じています。
今後の電子コミック業界は
――最後に、今後の電子コミック・電子書籍について伺います。競合サービスも増えてきましたが、めちゃコミックとしてどのようにとらえていますか?
恵美:まだまだ電子コミックというジャンルは伸びしろがあると思っているので、競合他社さんが入ってくるのも分かりますし、こちらとしても業界全体の盛り上がりが大切だと思っているので歓迎ですね。これまで電子コミックを利用してこなかった世代はもちろん、現在のメインターゲットである20~30代の女性であっても、まだまだ市場の伸びしろはあると思います。
――紙のコミックとの共存についてはどう思いますか? ゆくゆくは電子コミックに統合されていくと思いますか?
恵美:紙も電子もそれぞれの良さがありますし、ともに残っていくのではないでしょうか。電子コミック市場が大きくなったとしても紙のコミックがなくなるということはないと思います。
吉井:電子コミックが広がることで、これまで漫画に触れてこなかった人にとってのきっかけになればいいなと思っています。電子コミックを入り口にして、紙のコミックを読んでもらえればそれでいいんじゃないでしょうか。
取材を終えて
めちゃコミックを取材していて感じたのは、その懐の深さでした。業界最大級のサービスとあって、単に自社サービスのことだけでなく電子コミック市場全体の未来を見据えていることが見てとれます。テレビCMに打って出た姿勢からも、電子コミックという市場をネットユーザーだけでなく国民全体に根付かせようという意図が伝わってきました。余裕とともに、熱いハートを感じました。
今のスピードで電子コミックが広がっていったとして、10年後、20年後にコミックの形はどうなっているでしょうか。お二人の仰ったとおり共存しているのか、それとも...。今後も注目して見ていこうと思います。