現在開催中の『東京国際ブックフェア』において、大日本印刷(DNP)ブースではハイブリッド書店サービス『honto』ブランドのちょっと変わった電子書籍端末『honto pocket』が出展されています。
電子書籍といえば、スマホ・タブレットや専用端末にダウンロードして読むスタイルを思い浮かべますが、honto pocketはあらかじめ書籍データをインストール済みの端末を書店で購入し、ユーザー登録やダウンロードといった手続きなしに読み始めることができる点が独特です。
「タップリ・ラクラク・ベンリ」なんですって
紙の本と同じように書店で購入できて、読み終わってからも紙の本ほどの置き場所は不要。大日本印刷ではhonto pocketのメリットを「タップリ・ラクラク・ベンリ」という3フレーズでアピールしています。
・タップリ:
最大150冊のタイトルを収録でき、たくさんの本をコンパクトに持ち運べる
・ラクラク:
目に優しい電子ペーパーと読書機能だけのシンプル操作で誰でも楽に使える
・ベンリ:
書籍データはインストール済み、乾電池駆動で充電も不要で手間いらず
手に持った感触はコンパクト&シンプル
実際にhonto pocketを手に取ってみると、だいたい文庫本サイズのプラスチック筐体。同サイズの紙の本より軽いんじゃないかと思える重量感と、適度なカーブのあるデザインで手にしっくり馴染みます。
操作は画面下部のボタンで行い、画面はキンドル・ペーパーホワイトなどに似たモノクロの電子ペーパー。最近は電子ペーパーでも読書程度なら反応の遅さが気にならなくなってきましたね。
どんな形態で販売されるの?
さて、実際に書店で売られる際の形態としては、その容量を活かして「アガサ・クリスティー全集」(全100冊)や、「涼宮ハルヒシリーズ全巻」といったまとめ買い商品としての販売が主に想定されているようです。100冊単位での本を書店で購入して持って帰れるってちょっとスゴいですよね。
また、出版社の垣根を越えて「災害時に備えるための本」といったテーマ別にセレクトした商品も想定しているとされ、これも新たな書籍の売り方になっていくのかも。
確かにボックスにhonto pocketが入っている商品であれば、書店で買って帰る際にもかさばらないし、ダウンロード型の電子書籍と違ってすぐに開けて読むこともできます。ボックスに特典を封入するなど、ネット主体の電子書籍にはない付加価値をつけられる可能性も想像できますね。
バッテリーなし、ネット接続機能なし、といった割り切ったハードウェアだからこそ既存の書店と親和性の高い新たな電子書籍になれそう。そんな可能性を感じます。
残念ながらまだ正式に販売することは決定されていないそうですが、大日本印刷ブース説明員の方によれば「価格は紙の書籍をまとめ買いするよりリーズナブルにできればと思っています」とのことで、電子書籍は気になるけど愛読書は「モノ」として残しておきたい、あるいはプレゼントとして本を贈りたいといったニーズに合致するのではないでしょうか。
今後どうなっていくのか楽しみな、新しい電子書籍の胎動を感じる製品です。
[第21回 東京国際ブックフェア(TIBF2014)]
[honto]
(ワタナベダイスケ)