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漫画家はシナリオ論をどう扱うべきか?【創作ノウハウ】

2013/03/08 10:35 投稿

コメント:2

  • タグ:
  • 創作論
シナリオ論とは、物語を面白くするための理論のこと。
今回はマンガに特化し、シナリオ論をどう扱うべきか深堀りしてみた。
また、作品を面白くするにはどんな知識・能力が必要かも整理した。
主旨は、新人マンガ原作者である筆者の自己研鑚と情報整理

 ※鵜呑みにしないよう注意
 ※個人差が大きく、正解が無数にあるものだと思われる

◆結論◆
学んで損はないが、感性を磨く方が重要。

・ストーリー展開の構造的な欠陥は防げる
・時間短縮や網羅性の担保(発想の補助)に便利
・十分に理解し、無意識で使えるレベルになる事で、直感が鋭くなる可能性はある
・実用面抜きに、知的好奇心の面で言うと、メチャクチャ面白い(人生哲学・人間哲学に通じる)




シナリオ論の目的
作品の面白さを向上させる

「つまらさなさ」を減らす事には有効。
「面白さ」を一定値まで引き上げる事にも有効。
・ただし「面白さ」を突き抜けさせるには、理論よりセンスが重要。


シナリオ論の間違った使い方
最終的な答えを出そうとする


シナリオ論は補助ツールである
シナリオ論を学べば面白い作品が書けるというのは間違い。
結局、一定以上の面白さを生み出すには、右脳的な感性が必要


シナリオ論だけで名作が書けたら苦労しない

もし理屈だけで面白い作品が書けるなら、世の編集者は全員、自分で原作を書くはずだ。
(一部にそういう編集者はいるが、それは限定的。)
更に言えば、「シナリオ論」の著者が名作を残していないのはおかしい。
作品の面白さを決定づけるのは、理論化し難い、作家の芸術性である。


シナリオ論は時間短縮に使える

シナリオ論は、選択肢の素早い算出に使える。
「シナリオ論的に考えれば次の展開はコレかコレ」というのが即座に分かるので、
0から思いつくための時間を短縮できる。
あと、安心感が得られる。
ただしその中に正解があるとは限らない


シナリオ論は抜け漏れの防止になる

シナリオ論は、選択肢の網羅に使える。
「普通ならこうなる」というのを押さえた上で「じゃあどうする」と考えるのは、安全性が高い。
その際に、一定の網羅性を担保できるのが、シナリオ論(頻出事例)。


シナリオ論は経験則だが、網羅性は高い

世の名作を読み解き「なぜ面白いのか」を分析したもの。
分析対象は、神話から最新の作品まで多岐に渡る。
経験則と言えど、網羅性はかなりのもの。
長い歴史の中で、人間が面白いと感じるストーリーのパターンは全て出尽くした可能性が高い
ただし、その具体化の仕方は無限にある。


シナリオ論の分類

「シナリオの選び方」「選んだシナリオの具体化方法」の2つに分けられる。

1)展開の選択方法
  ・どういう流れ(ストーリー)にするか
  ・人生で例えると、ある時期の過ごし方や、進路の選び方
  ・理論的
  ・作品の決定的な生死を左右する
  ・長期的
  ・使用用途は汎用的
  ・学ぶ大変さの割に短期的な実りが少ないが、長期的にジワジワ効いてくる
  ・物語制作力の底上げになる
  ・編集者と相談して進めれば、大きくは外さない(と願いたい)

【具体例】
  ・三幕構成(ハリウッド式脚本術)、起承転結
  ・問題が生じ、それを解決する
  ・主人公は欠損状態にあり、それを埋めていく
  ・決意した主人公には「門番」が現れ、意志の強さを試す

  ※無数にある。ただしどれも、以下に関連が深い。
  「人間が潜在的に望んでいる人生」
  「各個人の人生・日常において頻発する事件・展開」
  「人生の真理とは何か」

2)展開の具体化方法
  ・どういうシーン(演出・セリフ等)にするか
  ・人生で例えると、瞬間的な体験
  ・理論というよりテクニック。実戦で得た気づき
  ・エンタメ性のUP
  ・即時的。すぐ使える。便利。
  ・使用用途は限定的なものが多い
  ・学べば学ぶほどいい
  ・特に、失敗例は有用

【具体例】
  ・悪役はどこかで1発くらい殴っておかないと読者がスッキリしない
  ・序盤のエログロは有効(読者が作品に興味がないから)
  ・2つの選択肢を提示し、提示してない3つ目を選ぶと意外性UP(岸本先生が書いてた)
  ・それっぽい造語を作って当然のように使い、それっぽさを出す(冨樫先生が書いてた)
  ・主人公が誰かを見捨てる展開は、アンケート的に超リスキー

  ※多くて書ききれない。
   また、商売道具であり、あまり書きたくないので、
   会員限定記事(マンガを面白くする『気づき』集)にまとめた。


→ ただし当然ながら、最後は自分の感性を信じる。


面白くするための理論は、シナリオ論以外に何があるか
キャラ論(内面、外面、心理描写方法)
作画論(コマ割り、視線誘導、構図、デッサン・パース、デザイン、絵柄、表情、特殊表現)


面白くするための、理論化できない要素は何があるか

才能依存が多いが、努力で磨けるものもある。

1)知識系

特殊知識(職業モノ等)
人生経験

2)思考系
アイデア発想力
 ---理由付け(こじつけ)
 ---組み合わせ
 ---共通点、構造の発見
 ---膨大な可能性の吟味
 
深堀りする力
 ---設定
 ---展開
 ---キャラ心理

3)感性系
・シナリオ選びのセンス
・ギャグセンス
セリフセンス(印象的なセリフ)
文章センス(心地いい文章)
作画センス
・表現したいことをエピソード化するセンス(例える能力)
・心の奥底にある哲学、人生テーマ


◆結論◆
学んで損はないが、感性を磨く方が重要。

・ストーリー展開の構造的な欠陥は防げる
・時間短縮や網羅性の担保(発想の補助)に便利
・十分に理解し、無意識で使えるレベルになる事で、直感が鋭くなる可能性はある
・実用面抜きに、知的好奇心の面で言うと、メチャクチャ面白い(人生哲学・人間哲学に通じる)



以上の捉え方は、
僕の作品(ゼクレアトルオーシャンまなぶ)を
面白いと思ってくれている人にとっては「1つの正解」であり、
つまらないと思っている人にとっては「寝言」でしょう。
そういう性質の記事だと思います。

今回は、シナリオ論の外面(接し方)をまとめました。
内面(具体的な持論)については、まだまとめられません。
実際に僕が作品を書く際に、シナリオ論を元に書いている訳ではないため、
机上の空論になってしまいます。
少しずつシナリオ論を参考にしてはいますが、主要な武器は直感です。

ですが、「もっと勉強したい」という意欲はあるので、
今後も「こうなのかなあ?」「これってどうなの?」と追求するニュアンスで扱っていければと思います。



面白い物語を読みたい!!
面白い物語を書きたい!!

(あとゼクレアトルもっと有名になれ)

コメント

>・「つまらさなさ」を減らす事には有効。
>・「面白さ」を一定値まで引き上げる事にも有効。
>・ただし「面白さ」を突き抜けさせるには、理論よりセンスが重要。

このへん物凄くよくわかりますね。
シナリオ論のセオリーには「設定・キャラクターはセリフ・エピソードで見せろ」ってのがありますが、
そのエピソードをどんなものにするか? はセンス的なものが大きいですもんね。

「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたらあたしのところに来なさい。 以上!」

これはライトノベルの「涼宮ハルヒの憂鬱」ですが、このセリフ一本で
主人公・ハルヒの電波っぷりや傲慢さ、そして作品の方向性まで提示している。
そういうを習って「まずはインパクトのあるエピソードかセリフを入れよう」と思っても、これ級のを出すのは難しい。

No.1 142ヶ月前

オーシャンまなぶは途中まで面白い。(ローラム編まで)
ゼクレアトルは最初から駄目。
新都社時代からのファンですけど、こういう人って自分だけじゃないと思うんです。

まなぶ後期から(2)の思考系の、特に「理由付け」に固執してるような感じを受けます。
やっぱり設定あっての理由付けだと思うんです。
まなぶのクオラ編の脳汁感は、やっぱり設定と理由付けが上手いこと合致したことによるものじゃないでしょうか。

一信者による感想ですが、何か助けになれば良いなと思います。

No.2 142ヶ月前
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