おくやまです。
私が毎週やっている生放送「アメリカ通信 LIVE!」
でも紹介しましたが、
ジョージ・フリードマンの「100年予測」
という本があります。
もともと新刊書籍として発売されたものですが、
最近、文庫化されることになりまして、
わたしがその解説を書くことになりました。
この「100年予測」という本ですが、
・著者はアメリカで重要な情報コンサルタントである
・地政学を踏襲している
・リアリズムに基いている
ということで、「アメ通」が標榜するテーマと近く、
読者の皆さんにとっても、
大いに刺激的な議論となっておりまして、
そこで、今回はその内容を元に
加筆・修正したものをご紹介します。
【未来予測そのものよりも、質問からくるプロセスが重要!】
【著者:フリードマンとは?】
【地政学の成り立ち】
【地政学者;マッキンダーとマハンとスパイクマン】
【地政学の成り立ち】
【リアリズム】
【地理と地理観】
【テクノロジーによる変化】
【アメリカの大戦略の5原則】
といったことを書いておりますが、
もし興味を持って頂けたら、
ぜひ、この書籍のほうも読んでみて頂ければと思います。
▼未来予測そのものよりも、質問からくるプロセスが重要!
まず、この本は、いわゆるアカデミックな「専門書」ではなく、
アメリカの一般向けの本であり、そもそも予測不可能な
長期的な未来について、アメリカ一流の情報コンサルタント
の立場から書かれたものだということ。
種明かし的ではありますが、読んでしまうと、
「中国が分裂し、ポーランド、トルコ、日本、そしてメキシコが
大国化してアメリカに歯向かうことになるなんて
荒唐無稽の妄想の産物だ!」
という感想を抱く方も少なくないと思います。
断言しておきたいのは、
このようなフリードマンの未来予測は絶対にはずれることでしょう。
その証拠に、フリードマン自身も
「未来がどのようなものになるのか、その感触を伝えることにある。
当然細かいことはたくさん読み違えるだろう」
と認めているほどです。
じゃあ、なぜこの本を読むのか?というと、
本書の最大の特徴は、その予測の正確性にあるのではなく、
むしろ予測を導き出す際に著者がどのような質問を
「土台」として想定しているのか、そしてその予測の
「アプローチの仕方」がどのようなものなのかを、
あますことなく教えてくれている点にあります。
例えば世界的投資家のウォーレン・バフェットらのような
一流の株式投資のファンドマネージャーなどだと、
未来の株価を予測するのは不可能だという。
株価予測はむしろ意味が無い。
重要なのは未来のシナリオを考えておくこと、
そしてそれが起きた時にどうするか、
を考えることが重要だと言われています。
考えられるシナリオを予測することが重要だという点は
似通ったものを感じます。
もちろん日本人にはこのような「土台」や「アプローチ」
「シナリオ」を知る必要ないと一笑に付すことも可能です。
▼著者:フリードマンとは?
ただし原著者は
『ザ・カミング・ウォー・ウィズ・ジャパン
:第二次太平洋戦争は不可避だ』
という本を1991年に出版し、
「影のCIA」という異名をとり、米政府や企業に情報を売っている
アメリカの情報コンサル会社のトップという立場の人間です。
原著者のフリードマンは、世界で最も影響力を持つ一人であり、
日本の安全保障にも大きな影響力を持つアメリカ政府に対して、
情報分析を供給している側の人間なのです。
本書をただ単に「未来予測を知りたい」
という知的好奇心を満たすために読んでいただくのも
一向にかまわないが、この人物がどのように考えているのか、
そしてわれわれはどのような問いかけを自分にすべきなのかを
本書から読み解くことは、平和や国家の生き残りという
重大な問題について少しでも関心のある日本人に
非常に大きなヒントを与えてくれるはずです。
ではフリードマンの予測の「土台」や「アプローチ」の
中心となっているものは何でしょうか?
それが「地政学」です。
ではこの「地政学」というのは、具体的にはどのようなものなのでしょう?
「地政学」(geopolitics)とは、古代から
人間が集団で社会をつくった時から常に
考慮せざるを得なかった「地理」をベースにした、
対外政策を考える上でのひとつのアプローチです。
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