おくやまです。
安倍総理が「集団的自衛権」の行使容認の方向で舵を切って以来、
真っ当なものから、「ちょっとそれは・・・」というトンデモなものまで、
安全保障を巡る議論が左右両陣営から噴出しております。
そこで今回私はあえて・・・
「そもそも、戦争を防ぐにはどうすれば良いのか?」
という「そもそも」論を展開してみたいと思います。
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つい最近欧州では、大きなトピックとして
もうすぐ開戦から百周年を迎える第一次世界大戦が
集中的に取り上げられております。
国際政治という学問において、この戦争が重要なのは、
今回とりあげる「どうやったら戦争を防げるのか?」論が
ヨーロッパの政治家や学者たちを中心に、
文字通り「雨後の竹の子」のように、
戦後になってワラワラ湧いてくるきっかけになった、
という点です
このテーマを「学問」として体系化して発展させてきたのが、
現在われわれが大学などで学んでいる「国際政治学」、
もしくは「国際関係論」と呼ばれるものです。
この「国際関係論」の中で、
いわゆる「リベラル派」と呼ばれる人たちは、
冒頭の疑問に対して、
ひとつの答えを出しております。それが、
「互いにビジネス関係を深化させて、いわゆる経済相互依存状態を作る」
というものです。これは要するに、
「互いに金のつながりができれば戦争しようという気にはならないでしょ?」
ということですね。
この論は、「経済大国」として(いまのところはまだ)自他共に認める、
われわれ日本にとって、とても耳ざわりのよい主張で、
事ある毎に、このような意味合いを含んだ言説が
メディアなどでよく登場します。
たとえば先日の日経新聞の名物コラムにも、
以下のような記事がありました。
===
▼安保論議に経済の視点を(http://goo.gl/XWexSi)
集団的自衛権をめぐる論議が与党内で高まっているが、
そこには経済の視点が欠けている。
海洋強国をめざす中国と対峙するだけでは東アジアの緊張は高まる一方だ。
緊張をほぐすには、世界の成長センターであるこの地域で
経済の相互依存を深めるしかない。
グローバル経済化が進むなかで経済の相互依存こそが危機を防ぐ抑止力になる。
安全保障の専門家の間には、
経済の相互依存があっても緊張は起きるという見方がある。
はたしてそうか。
経済の統合が最も進む欧州連合(EU)内には、
あつれきはあっても軍事的緊張はない。
EUは2度の大戦を経て欧州を不戦の地域にするために創設された。
北米自由貿易協定(NAFTA)を構成する3カ国にも、
東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国間にも緊張はない。
ウクライナ危機が軍事衝突まで点火しないのは
ロシアとEUの間に相互依存があるからだろう。
米中が冷戦時代の米ソのように冷却しないのは
米中経済の深い相互関係があるからだ。
グローバル経済の時代にあって緊張を防ぐ近道は遠回りに見えて、
経済の相互依存を深めることである
===
記事の冒頭からいきなり典型的な
お馴染みの論理展開ですね(笑)
これなどを読むと「なるほど!たしかにそうだ!」
と納得してしまいがちですし、
この議論にはそれなりの説得力があると言えるでしょう。
ところが、実はこの「経済相互依存で戦争を防ぐ」
という考えは、学問的に見ると
「かなり怪しい」と言えるのです。
いくつかこれに対する反証と思えるものがあるので、
具体的に挙げてみましょうか。
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