おくやまです。
先日、すでにブログのほうでも紹介しましたが、 ※ ▼シュウェラーの新刊:無秩序化する国際関係 http://geopoli.exblog.jp/22816145/ 今回はランドール・シュウェラー(オハイオ大学教授)が書いた、 「マクスウェルの悪魔と黄金のリンゴ:新世紀における世界の不調和」 という、非常に面白い本の内容を少し掘り下げて考えてみます。 ▼Amazon Maxwell's Demon and the Golden Apple : Global Discord in the New Millennium http://goo.gl/XdpHgG 具体的な中身の説明については ブログのほうを参照して頂くとして、 要するに、この本の中でシュウェラー教授が何を言っているのか?というと、 「今後の国際関係はエントロピーの増大によって無秩序化していく」 という極めてシンプルなもの。 そして、この本の「ツボ」は、シンプルな主張をいかに知的に議論するか? という点なのですが、特に私が今回強調したいのは、この論の「前提」の部分です。 -:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:- さて、シュウェラー教授の言う「前提」とは何か?それは、 「大戦争(覇権戦争)が起こることによって、世界秩序は大きく変わる」 ということです。 そして、今回も 「ハァ?奥山さん、戦争が秩序を決める?!何言ってんの?」 と、恒例のツッコミが入りましたね。わかります。 ですが、冷静な(そして、学問的な)視点で眺めてみると、 世界の秩序(「オーダー」といいます)というのは「戦争」で決まってしまう、 と言わざるをえないのが現実です。 例えば、いわゆる「戦後の国際秩序」という言葉があります。
これは「現在の世界秩序」(the current world order)のことですが、 この"元締め"は、国連の安全保障理事会の常任理事国の5カ国。 俗に「P-5」と呼ばれる拒否権を持つ国々のことでして、 このメンバーはいずれも「第二次世界大戦の戦勝国」なのはご存知のとおりです。 具体的にはアメリカ、イギリス、フランス、 ロシア(元ソ連)、中国(以前は中華民国)の五カ国です。 現在の国際秩序は、この五カ国がトップに君臨する構造になっていて、 この5カ国は70年ほど前の「戦争」によって、 現在の立場を獲得したということです。 さて、シュウェラー教授は、この秩序がくずれてご破産になる時に、 「覇権戦争」(hegemonic war)が起こる、と想定しております。 これによって国際秩序が一気にガラッと変わるからです。 現在、私達の生きているこの世界は、 70年ほど前の第二次大戦という「覇権戦争」から生まれたわけですが、 そのさらに一つ前の「覇権戦争」は、 今年でちょうど開戦100年を迎える第一次世界大戦。 このように一定のサイクルで「覇権戦争」が起こることによって、 新たな「秩序」が構築される。 そして、その「秩序」は戦勝国が創る。 これがシュウェラー教授の言わんとしていることです。 では今後はどうなるのか?というと、実は、 シュウェラー教授は「覇権戦争」は起こりそうもない、 と考えているようです。 それはなぜか?というと、 人類の持っている兵器関連の技術(とくに核兵器)が あまりにも強力になりすぎてしまい、 大国同士がドンパチするような事態は もはや考えにくいからだというのです。 -:-:-:-:-:-:-:--:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:- ここまでシュウェラー教授の論を読み解いて来て、 私はここで「おや?」と想いました。 それはどういうことかというと、
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