人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。

 美大受験、2浪目に突入した日。こんな歌を書いた。

 “僕を取り巻く世界が教えてくれたもの/それはまるでタバコに火をつけてから/灰皿にねじふせるまでの/そんなちっぽけな始めと終わり”

 心が沈んだ時に気付く、分ったようなこと。当然、ギターコードはマイナー。セルジュ・ゲンズブールみたいに低い声で、

 “彼女を抱いて愛を囁くことでさえ/今は信じられないに違いないが/きっといつかは分ってしまう/そんなちっぽけな始めと終わりMUMUMUMU♫”

 締めはハミングだ。

 分ったようなことを歌って、現実逃避したかったに違いない。 
週刊文春デジタル