春は突然やってきたような気配を見せて、そしてすぐに去っていった。

 この2、3日は本当に寒い。

 朝、私はミルク粥をつくった。これは雑誌のエッセイに出ていたもの。冬の北欧ではよく食べられているものらしい。

 お米を4倍のお水で煮て、あと同量の牛乳で煮つめていく。最後に砂糖をぱらつかせて出来上がり。体がしんから温まり、やみつきになるおいしさである。

 温かい、といえば、私はこの頃お酒を飲む時、和食のお店だったら熱燗を頼むことが多い。何も無理にバカ高くなったワインを、お鮨屋や割烹で飲むことはないと思うようになったのだ。

 こう考える友人は増えてきて、みんな日本酒か、そうでなかったら焼酎を頼む。中華だったら安い紹興酒にする。

 お酒はおいしい。一緒に飲む友人たちと、あれやこれやバカ話をするのも本当に楽しい。

 そしてこんな幸せが、いったいいつまで続くのかふと不安になる。 
週刊文春デジタル