「国際支援は慈善ではない」共和党のマルコ・ルビオ上院議員(当時)は2017年に言った。「アメリカの安全保障にとって重要なのだ」

 彼はアメリカの途上国支援を管理するUSAID(米国国際開発庁。ユーエスエイド)について言っている。それは対ソ連の国際戦略で作られた。

 冷戦下のソ連は発展途上国、貧困国に勢力を拡大していた。それに武力(ハードパワー)ではなく、人道支援(ソフトパワー)で対抗するため、1961年、ケネディ大統領がUSAIDを創設した。

 ソ連崩壊後もUSAIDは世界各地で貧困、飢餓、疫病、災害、弾圧と戦う人々を支え、食糧や医薬品、水道、教育などを援助してきた。

 ところが2月3日、そのUSAIDの閉鎖に「トランプ大統領が同意した」とイーロン・マスクが発表した。彼はトランプ政権のDOGE(政府効率化省)の責任者に任命され、連邦政府の歳出や人員の削減を始めたが、その皮切りがUSAIDだった。首都ワシントンのUSAID本部は閉鎖され、世界各地の支局も活動停止を余儀なくされた。 
週刊文春デジタル