社会人になりたての頃は、会社案内のパンフレットの役員一覧にずらりと並ぶ、取締役の顔の見分けがつかなかった。みんな同じようなスーツを着て、年齢も同じようなおじさんばかりだったから。
 ところが、何歳が境目だったのかは分からないけれど、いつの間にか、今度は若者の顔の見分けがつかなくなった。特に髪サラサラのイケメン男子がみんな同じに見える。一方、大企業のおじさん役員の顔がテキパキと判別出来るようになっていた。言うまでもなく、かつて若かった自分たち世代が、おじさん側に仲間入りしたというだけのことだ。 
週刊文春デジタル