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春日太一の木曜邦画劇場 第600回「重苦しくて新作を避けた少年時代。印象を大きく変えた邦画がこれだ」『大誘拐 RAINBOW KIDS』

2024/09/19 05:00 投稿

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  • コラム
  • 春日太一
 おかげさまで、本連載は六百回を迎えることができた。旧作邦画一筋で、これだけ続けられたのは、何より読者の皆様のご愛顧のおかげ。改めて、御礼申し上げたい。
 今でこそ、このように邦画を専門にしているが、映画を好きになった頃は苦手だった。一九八〇年代半ばに『グーニーズ』で映画の面白さに目覚めたため、以降は派手な楽しさを求めてハリウッド映画ばかり追っていた。一方、同時期の邦画は重かったり、暗かったり、貧乏臭かったり――という印象があり、小学生の身には取っつきにくかった。中学に上がる前後に名画座などで旧作にはハマっていくが、新作は苦手なままだった。
 そうした中で「え、新作邦画もハリウッドみたいに楽しく作れるんだ」と公開時に驚かせてくれたのが、今回取り上げる『大誘拐 RAINBOW KIDS』だ。今年で生誕百年となる岡本喜八監督によるコメディ映画である。 
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