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春日太一の木曜邦画劇場 第591回「情に寄り過ぎない男女の関係を長谷川公之の脚本がタイトに見せる」『孤独の賭け』

2024/08/28 07:00 投稿

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  • コラム
  • 春日太一
 前回まで「陸軍中野学校」シリーズを続けて取り上げる中で、改めて気づいたのは脚本家・長谷川公之によるプロットの見事さだ。その緻密さにより、スパイたちの諜報戦に緊迫感をもたらしていた。
 長谷川は警察官出身という珍しい経歴の持ち主で、それを活かして「警視庁物語」などの刑事ドラマを得意としてきた。その作風は日本の脚本家では珍しく、情に寄り過ぎない乾いたタッチを特徴としており、冗長なシーンのほとんどないタイトな構成とあいまって、フィルモグラフィにはクールな印象を与える作品が多く並ぶ。
 今回取り上げる『孤独の賭け』も、長谷川脚本の魅力を味わうことのできる作品だ。五味川純平の小説を原作とした本作は、一組の野心家の男女がたどる顛末が描かれる。 
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