あれはいつの事でしたか、新真打の昇進の宴か、誰かの襲名の祝いだったか、とあるパーティーの席でした。落語界のとある大先輩が、スピーチの指名を受けてマイクの前に立ちました。ところがその手に、なぜかフォークを持っている。会場中が怪訝な雰囲気になったのを察してか、その師匠、
「えー、いつもは扇子を持ってますんでな、何か持っていないと不安になりまして……」
 会場がドカンとウケましたよ。この師匠、別にウケを狙った訳じゃない、素でおっしゃったもんだから、おかしいのなんのって。今週のお題で、懐かしく思い出しました。
 さてさて、のらりくらりと始めましょうか。 
週刊文春デジタル