コメディアンとしての長い人生の中で、ぼくには今でも「先生」と呼んでいる人がいる。昭和を代表する喜劇人・三木のり平さんのことだ。
のり平さんのすごさを初めて目にしたのは、まだコント55号を結成する前、浅草の劇場にいた頃だった。
当時、劇作家の菊田一夫さんが、
「コメディアンは大晦日に大笑いさせなければならない」
と言って、日劇で錚々たる顔ぶれの集まる恒例の公演が行われていた。
客席は溢れんばかりの超満員。切符が取れなかったぼくは、三階席から客席を見渡すように舞台を観ていた。
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