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2024年新春・文春俳壇(選者 池田澄子) 文春俳句

2024/01/10 05:00 投稿

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  • コラム
  • 池田澄子
好評につき第三弾! 前回同様、俳人の池田澄子さんが、読者からの投稿約二千句より三十句を選出。さらに、新年に鑑賞したい名句をご紹介いただきました。

去年今年貫く棒の如きもの 高浜虚子
大晦日の夜から元日になり、夜が明けて新年が始まります。それが「去年今年(こぞことし)」。この時の流れが「貫く棒の如きもの」であると。形あるモノは皆無です。初めてこの句に出会った時、なんて前衛的! と驚きました。そして俳句は虚子だ! なんて思ったのでした。

撫でて在る目のたま久し大旦 三橋敏雄
「大旦(おおあした)」は元日の朝。目を覚まし顔を撫でた時、瞼の上から触れたその独特な手触りに、目玉が在(あ)るという当然のことを意識した。そんな些事が大旦という季語によって、大きなおめでたい句に。「久し」に、長く生きてきたという感慨と感謝が込められています。

初暦知らぬ月日は美しく 吉屋信子
吉屋信子といえば少女小説家として有名ですが、素敵な俳句もたくさん詠んでいます。初暦は未だ何も書かれておらず真っ新(さら)。自分の知らないこれからの月日を「美しい」と言い切っているところが素敵です。また、「美しくあれ」という祈りでもあるのでしょう。 

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