おかげさまで、最新刊『鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』は発売から三日で重版という猛烈な初動の売れ方となった。
その生涯を追うほどに橋本作品に魅せられたキッカケは、子どもの頃の土曜日の夕方にテレビで観た二本の映画だ。
一つは『影の車』。不倫相手の息子に殺されるかもしれないと考えるようになった男が、やがて妄想か現実かの境界を失っていく様を追った作品で、その悪夢的な展開に恐怖を抱くと共に、ひどく酔いしれて虜になった。この脚本を書いたのが、橋本だった。
そしてもう一本が、今回取り上げる『八つ墓村』だ。
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