戦後すぐの血液確保を専門としていた製薬会社での噂。

売血者の血を抜く作業をしていた従業員たちは売血制度が禁止となって以降、かなり抵抗のあるものから血を得る仕事をせざるをえなくなってしまった。それは胎盤だった。胎盤から血を絞り取る作業だ。体内の赤ん坊に栄養を送る胎盤は出産後、いくつもが病院でドラム缶に詰められ製薬会社に送られる。製薬会社ではその胎盤を切り刻み、上から重しをのせて血を搾り取る。

しかし、ある日を境に血を採る材料がさらに変更されたという。


そう、胎盤に代わり今度は「堕胎児」になった。


つまり、血液さえ確保すればいい製薬会社は胎盤だけではなく堕胎された子供をも病院から引き取り血を搾り取る材料とした。


「ウギャアウギャア」


 この世に生を受けられずに死んでいき血を搾られる堕胎児たちは切られる瞬間、出るはずもない声を出して叫んでいた、そんな話もあった。