ほぼ週刊セピア

ミステリー小説を初めて読んだ話/11月度スプラトゥーン2対戦会用PW

2021/11/01 20:50 投稿

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先日本屋へ行った時、妙に目を引くコーナーがあった。

「たった1行」が世界を変える!

「惚れる1行」をあなたも是非!


やたら推すなーと気になりながらも、
その日は素通りして目当ての西洋史コーナーへと向かった。


そして1週間後。
同じ本屋を訪問。

「たった1行」が…

まだあるぞ。何だこれは?

さすがに立ち止まってよく見てみることにした。

その筋では有名らしいのでピンときた読者の方もいらっしゃることと思うが、
ミステリー作家・綾辻行人さんの特集コーナーだった。

綾辻行人、綾辻行人……
20年くらい前にテレビの推理ドラマの監修で出てたのを1度見たことがあるなあ、
「Anotherなら死んでた」で有名な『Another』の原作者だったっけ、
くらいの記憶で、自分はほぼ知らないも同然。

後に調べたところによると、
本格ミステリー界隈では「綾辻以前」「綾辻以降」と言われるほど
ミステリー界に大きなインパクトを与えた人物らしい。

並んでいる本を眺めてみる。

『○○館』『△△館』『□□館』『◇◇館』……

ああこれ「館シリーズ」ってやつか?
かつてマジックアカデミーで見た遠い記憶がよみがえってきた。

ちょっと興味が湧いてきた。

「たった1行」が世界を変える! と。

「たった1行」って、そんなに凄いことがあるんか?

大袈裟な謳い文句は基本的に信じないクチだ。
衝動買い、というのも余程のことがない限りしない。

ただ、2回来て2回とも気になった。今日は足を止めた。

まあ、カバーのデザインも好みだし、いいか。
白々しい言い訳を脳内に重ねながら、その本をレジへと持っていった。



―――――

『十角館の殺人』読んでみました。
なるほどこれは! と思いました。

途中で怪しいと思った部分がありつつも、
後半のほうになるとどういうわけかそこに注意を向けなくなり、
そして、例の1行です。

ゾワっとする感覚、確かに味わえました。

これ、ムジュラの仮面のグレートベイの神殿です。

入口があって、括弧開いて、中でぐちゃぐちゃになり、それがまとまって、括弧閉じて、出口がある。

構造的な美しさを至るところに感じる作品です。
作者の美学をまざまざと見せつけられました。

1987年の作品らしいですが、2021年に読んでも古臭さを感じないというか、むしろ
1987年には絵空事だったけど今では妙にリアルに感じる
と表現するほうがしっくりくるかもしれません。

美しさと言えば、言葉の美しさも。
ミステリー小説ってもっとドロドロしていてグロいものかと思っていましたが、
そういったものは意外に少なく、
本当に美しい文章だったなという読了感。


この本がミステリー小説体験第1号でよかったなと思いました。
次の『館』を読むかはまだわかりませんが、けっこう気になっています。
非常に素晴らしい、良い体験でした。


P.S.
そういえば以前、金田一の『電脳山荘殺人事件』を読んだことがありました。
なるほど、という感じです。
あの作品も名作。



◆―――◆―――◆―――◆―――◆

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