ブルックリンでジャズを耕す

ブルックリン物語 #09 ボタンとリボン "Bottons and Bows"

2016/05/19 18:00 投稿

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どうしてそれほど無愛想な顔が出来るのだと聞いてみたくなるほど態度の悪い店員がいる。それも1軒や2軒じゃない。

そもそもアメリカ社会にはチップ制度があるわけだから、その値段分レストランなんかではもっともっと愛想良くてもいいのじゃないかとぷんぷん腹をたてる筆者。頼んだお皿がやっと来て、さあこれから食べようとする時に、「これもう片していい?」と聞かれたことなど何度もある。つまり「自分の仕事を自分の都合で早く片付けたい」わけだ。

お金を払って少しテーブルでまどろんでから席を立つと、すでに僕たちは「透明人間」だ。「ごちそうさま」と大きな声で彼らに声がけしても、気づく店はコリアン系か日本系くらいのものだ。

悪気なんかさらさらない。そもそもホスピタリテイなどこの国には存在しないのだ。

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アメリカは多民族国家なので、記念日、祝日がわんさかある。今週末はプエルトリコのパレードで美女クイーンがタスキをかけてオープンカーでパレードするから、うちからほど近い見抜き通りは警官が出動してブロックアウトされる。その次の火曜日は「コロンビア独立記念日」、これまた沢山の屋台が道端に出ておお騒ぎ。アイリッシュのセントパトリックの日なんかは町中が緑一色になるし、あちこちでみんな酔っ払ってハイファイブ(ハイタッチのこと)している。今年も暮れるなあなんてのんびり物思いにふけっていると、地下鉄のドアが開き大勢のこれまた酔っ払ったサンタクロースが乗ってくる。イースター、独立記念日の花火、コンビニエンスストアも模様替えに忙しい。きのう、友人のアメリカ人のジャズシンガーとウオールグリーン(薬からコンビニ的商品までなんでも揃うスーパー)に行くと「赤鼻をつけるキャンペーン」なるものを展開していて、ひとつの列が赤い鼻だらけ。「こんなの見たことないわ」彼女はさらっと言っていたけれど、所謂感覚としては、年がら年中イベントだらけ。一年が毎日お祭り騒ぎ。そんなかんじかもしれない。


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母の日、バレンタイン、クリスマス、ハロウイン、感謝祭と……僕がよく行くギフトショップ「ギラギラ屋」は毎週のように陳列棚の商品が変わる。ぴ散歩の最中に50代のオヤジでも「ちょっと今日の午後にちらっと覗いてみようかな」と思ってしまうほどそのラインナップは唆るものがある。


店員はみな頭にカチューシャをつけて、それがハロウインなら骸骨やパンプキンになるわけだ。セントパトリックデイだと四葉のクローバー。

だいたい毎年毎年同じように押し寄せる記念日や祭なのだから、イベント用のグッズはそのまま来年にとっとけばいいというのは日本人的発想で、これが絵に描いたようにみんな一回使ったものは捨てまくる。そしてまた1年経つと新たなハロウインの仮装グッズや四葉のクローバーステッカーを探して、「ギラギラ屋」には老若男女、人種の区別なく客がごまんと集まるのであった。

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これだけ祭や楽しいことが多いのだから、もっと楽しい顔をすればいいのにと思うのだけれど、店員はけだるそうに無表情でサービスのかけらもない。それはそういう文化に慣らされたアメリカ人でも不服に思うのだということをこのまえ目の当たりにした。

 

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