フリーランサーズ・マガジン「石のスープ」

西村仁美【とりあえず行ってみる】vol.1「デモの不自由な国から考える」

2011/10/12 14:34 投稿

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週刊 石のスープ
定期号[2011年10月12日号/通巻No.6]

今号の執筆担当:西村仁美
※この記事は、2011年10月に「まぐまぐ」で配信されたものを、「ニコニコ・チャンネル」用に再配信したものです。



■違法行為もをしていない人が逮捕?

 このところ友人Aが「デモづいて」いる。

 3・11の東日本大震災、その後の福島での原発事故からAは何かをせずにはいられなくなったようだ。
 そんなAから最近こんな話を聞いた。
 きっかけは、先月9月23日の差別と排外主義に反対するデモ(「生きる権利に国境はない! 私たちの仲間に手を出すな! 差別と排外主義にNO! 9・23行動」)で、逮捕者が出た話からだった。
  例えばサウンドデモをしている時、サウンドカーのスピーカー近くに、警察がわざと音を拾う機器を近づけて来る。音を拾ってそれで音量をはかり、何かの条例 違反ということで、サウンドデモを潰そうとそういうことをやっている。横断幕を持っているデモ参加者がその音を拾う機器をスピーカーに近づけさせないよう にその旗を左右に振って追い払っていた。同じく先月11日、8月のデモで不当逮捕者が出たことに反原発の運動家が警察署前で抗議していたところ、今度はそ の人が不当逮捕されてしまった。そんな内容だった。「なんだそれ?」と思った。どこかの独裁主義国家の話みたいだ。

 Aの話を聞く限りに おいては、なんの違法行為もしていない人たちが警察にわざわざ罪を作られ逮捕されていた。人権侵害という言葉でも片付けられないほどひどい話じゃないか。 それがもし事実なら、一体この国で何が起こっているのだろう、と思った。公衆に向かって思いの丈を訴えたり表現したりする自由が国によって奪われつつあ る、とするなら、その不自由さはいずれ私やデモに無関心な人たちの身にもリアルに実感できる形で降りかかってくるはずだ。家の中でも外でも自由にものが言 えない、歌えない、笑えない国に日本はこのままだとなってしまうのではないだろうか。そういうふうにも考えた。

 それで、まずは実際にデ モで逮捕された人たちの生の声を聞いてみることにした。そうした人たちの話をジグゾーパズルのように拾い集めてつなぎ合わせれば、今この国で起きている事 態の深刻さや、それを作ってきた者たちの正体に少しでも近づけるのではないだろうか。一体、誰が何のためにこうした事態を招いているのか、を。
 これは不定期で時々、いろいろな現場から、あるいはさまざまな人たちの声を集め、あるいは過去の歴史をひも解き、みなさんに伝えていければいいと思っている。
 

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