11月24日から小倉競輪場にて、
平成28年熊本地震被災地支援
「第58回
朝日新聞社杯競輪祭」G1
(以下 競輪祭)が行われる。
実況は佐世保競輪場での
中継司会でのお馴染みの
橋本悠督さん(私の師匠)だ。
この競輪祭。
2005年から2012年までは、
各競輪場で
実況を担当しているアナウンサーの
ファン投票が行われ、
上位4名が実況を1日ずつ担当を
するという試みがなされていた。
私が競輪の実況アナウンサーとして
デビューしたのが2011年8月。
競輪祭まで約3か月の期間である。
素人に毛が生えたような人間が
僅か数ヶ月で
G1で実況デビューなど
出来るわけないのだが、
(もしかしたら僕も
選ばれるかもしれない。)と
淡い期待を寄せ、
スカスカのスケジュール帳に
「競輪祭本番(仮)」と
デカデカと書き込んでいた。
いよいよ実況アナウンサーの
ファン投票が始まった。
ワクワクしていた。
ドキドキしていた。
皆にたくさんの告知をした。
清き一票を是非大津尚之に、と。
が・・・
実況アナウンサーの候補者リストを
見て愕然とした。
無いのだ、どこを探しても
「大津尚之」の名前が。
あいうえお順で並んでいるので、
わりと初めに出ていないと
おかしいのに「あ行」の方々の
中に「大津」の名前がなく、
当然のように「か行」の
アナウンサーの人の名前が
次に並んでいた。
もしかすると「大津(だいつ)」と
勘違いをしているのかもしれない、
と無理矢理自分を納得させ
「た行」を見てみるも、
やはり名前がなかった。
ページを開いてしまったからには
誰かに投票をしなければいけない。
師匠の橋本さんに投票を
しようかと思ったが、
「その他」という欄があったので、
そこに「大津尚之」と
打ち込んでおいた。
そして結果発表の日。
当然のように私の名前はなく、
全国的に聞いたことのある
名前の方々ばかりが
順当に選ばれていた。
そんなほろ苦い思い出が残る
競輪祭だが、
これには後日談がある。
数日後、小倉競輪場から
宅配便が届いた。
中を開けると
「大津尚之様。この度は競輪祭の
実況アナウンサー投票(大津尚之)
にご参加いただき
ありがとうございました。」
というような紙と共に
クオカードが入っていた。
「大津尚之」という
名もなき実況アナウンサーに
投票したのが大津尚之。
恥かしすぎる・・・。
せめて偽名で投票したら良かった。
今であればきっと私の名前も
載っているであろうが
(希望的観測)、
ファン投票が終わってしまったので
仕方がない。
ともあれ、
年末のGP出場をかけた
今年最後のG1が
目の前に迫ってきた。
手前味噌で申し訳ないのだが、
是非橋本悠督さんの実況で
お楽しみいただきたい。
同じ土俵にいる立場としては、
適切な発言では
ないかもしれないが、
「橋本悠督」の本気は凄いから。
過去に橋本さんが実況する横で
G1戦を観戦したことがあった。
緊張した様子も見せず
いつもと変わらない雰囲気で
実況をしていたのだけど
決勝戦の直前に
「ちょっとだけ集中するわな。」
と言った時の表情が
未だに忘れられない。
かっこよかった。
身内びいきと
思われるかもしれない。
だけど私は誰が作ろうと
「美味い」ものは「美味い」と
言いたい。
だから「上手い」ものも「上手い」
と言いたいのだ。
競輪祭は私が年に一度、
純粋に一人の実況アナウンサーに
対してファンとして楽しめる大会。
是非、皆様も目で耳で肌で
感じていただきたいと思う。