ごきげんよう。有料メルマガ評論家の渡辺文重です。今回は、有限会社ブンヤ社員で私の弟・渡辺亘重氏と、常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』について語ろうと思います。

常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』
僕たちはガンダムのジムである(日経ビジネス人文庫)

◆イントロダクション

文重:よろしくお願いします。

亘重:こちらこそ、よろしくお願いします。ところで、何をしているのですか?

文重:常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』について話すだけだと芸がないので、ガンプラを作りながら対談しようと思います。

亘重:お、おぅ。

HGUC 1/144 RGM-79 ジム(機動戦士ガンダム)
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◆常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』を紹介する理由

文重:早速ですが、常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』を読んでみた感想は?

亘重:最初はつらかった。だって、常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』は、自分のような人間を読者に想定していないって分かったから。というよりも、なぜ、俺に読ませたかを知りたい。

文重:あぁ、それは、亘重さんの方が(ガンダムやジムが登場する)「1年戦争」について詳しいと思ったから。私は、アニメ化された作品しか見ていないけど、亘重さんは、それ以外の設定も詳しいじゃないですか。

亘重:ガンダムオンライン』をプレーしているからね。でも、文重さんって『僕たちの好きなガンダム』にも寄稿していたような……。

文重:私が担当した記事は、主に「グリプス戦役」(『機動戦士Zガンダム』)関連ですから。ちなみに、好きなキャラクターはバスク・オムです。バスク大佐って魅力的なキャラクターだと思うんですよね。

亘重:その話、長い?

文重:話を戻しましょう。実は私も「自分は想定読者じゃないな」と思ったんですよね。それで、亘重さんの感想を聞こうと思って。

亘重:なるほど。それならば、そこまでして常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』を紹介しようと思った理由が知りたい。

文重:それは、簡単。常見氏から献本があったから。最近では、自分が編集した雑誌・書籍でも、献本されないことが多いので、うれしかったんだよね。あと、「本を読んでいるアピール」をすると良いことがあるって、漆原直行氏、中川淳一郎氏、山本一郎氏が主張していたからかな。献本された書籍の書評を書くことで、より献本されたい、みたいな……。

亘重:お、おぅ。

【参考】
僕たちの好きなZガンダムDX(別冊宝島)
読書で賢く生きる。 (ベスト新書)

◆キーワードは「簡単フィニッシュ」

亘重:ところで、文重さんって、今でもガンプラを作っているの? 小学生の時には、一緒に作った記憶があるけれど。

文重:まさに、小学校以来。そこで、ガンプラとかに詳しそうなUG氏にアドバイスを求めたんだ。

亘重:で、なんて言われたの?

文重:「HG(ハイグレード)」ぐらいだったら、気合入れて作るまでもないって。「HG」というのは、ガンプラのグレードね。

亘重:それにしては、いろいろな工具を買っているよね?

文重:いや、UG氏に「それじゃ、手でパーツをもぎって作るわ」って言ったら、ふざけるなって怒られたんだよね。せめて2000円ぐらいのニッパーは買っておけと。あと、つや消しスプレーとガンダムシャーペンも買っておけば、それなりのクオリティーになると言われた。

亘重:ガンダムシャーペン?

文重:私も意味が分からなかったのだけど、仕上がりが格段と良くなるらしい。

亘重:どうやって使うの?

文重:細かいことは「簡単フィニッシュ」で検索すれば、いろいろな動画が出てくるから、それを参考にしろってことだった。

ガンダムマーカー GP01 ガンダムスミイレシャープペン
ガンダムマーカー GP01 ガンダムスミイレシャープペン
左が素組みの状態。右がシャーペンでスミを入れ、つや消しスプレーを吹きかけた状態。

◆秀逸だった「ジム」という表現

亘重:常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』に話すを戻すけど、自分がガンダムではなくジムであると自覚することの重要性は共感できた。

文重:そう。もちろん、世の中にガンダムは存在するのだけど、自分がガンダムだなんて勘違いしていたら、とてもじゃないけど、生きていけない。

亘重:常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』は会社員向けの書籍なので、フリーランスみたいな俺たちが言っても説得力はないけど、まぁ、その通りだよね。

文重:ところで、優れた能力のない、いわゆる「普通」の会社員を指して「ジム」としているけど、この表現は適切だったと思う? 例えば、「ボール」の方が良かったとか、あまり知られていないけど、ちょうどピッタリなモビルスーツがあるとか……。

亘重:ジムとガンダムという比較を含め、ジムが最適だったと思うよ。ボールについての言及はなかったけど、常見氏にとってボールは、アルバイトやブルーカラーを指す言葉になるんじゃないかな。あと、最後の方で「ジムカスタムを目指せ」と記されていたし、やっぱり、ジムという表現が最適だと思う。

文重:ジムとガンダムは似ているよね。全体的なカラーリングやシールドなど、ジムはガンダムを意識していると思う。ガンダムを見慣れていたカツ、レツ、キッカも一瞬、間違ったぐらいだし。

亘重:確かに、ジムとガンダムは似ているけど、実は、性能が全く違うんだ。ガンダムの装甲はガンダリウム合金が使われているから、ザクマシンガンではびくともしない。一方、ジムの装甲はチタン系合金だから、ザクマシンガンでもやられてしまう。

文重:あれは主人公補正でなく、ちゃんとした設定だったんだ。

◆4時間掛けてジムが完成。こんな上司は嫌だ!

文重:プラモ制作から3時間30分。やっと、各パーツが完成した。

HGUC 1/144 RGM-79 ジム(機動戦士ガンダム)

亘重:おおっ。でも、ちょっと首のパーツがおかしくない。

文重:あっ、本当だ。作り直さねば……。

(30分経過)

文重:やっと完成した。いやー、疲れた。

HGUC 1/144 RGM-79 ジム(機動戦士ガンダム)

亘重:お疲れさまでした。これで終了か。ただ、ガンプラに夢中で、常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』について、ほとんど話していないような……。

文重:そうだった。ジムという表現が良かったという話だったけど、逆に、不満だと感じた箇所はあるかな?

亘重:う~ん。「コンスコンみたいなリーダーの下では働きたくない」と書かれていたけど、それは、コンスコンがかわいそうじゃないかな。ホワイトベースが強いからといって、何もせずに白旗を上げるわけにはいかないでしょう。リックドム12機が3分で全滅したのは、コンスコンが無能なのではなく、アムロ・レイの搭乗するガンダムが強すぎたことが原因なんだし。

文重:コンスコンよりも、シャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)の部下の方が嫌だな。確かに、ルウム戦役における功績は目覚ましかったけど、それ以降は失敗続きだったじゃない。いや、それを言ったら、シャアを重用し、ギレン・ザビを殺したキシリア・ザビの罪は、さらに重たいか。

亘重:ギレンは間違いなくガンダムだったからね。ギレンがキシリアに殺されたことにより、ア・バオア・クー攻防戦で、ジオン軍の指揮系統に混乱が生じたことが敗因の1つになった。

文重:キシリアは、自分がガンダムだと勘違いしたジムだった、ということかな。自分をガンダムと勘違いしている上司って、重用する部下も無能なことが多いから、一緒に働きたくないなと思う。

亘重:しかし、ガンプラ作りに付き合わせる上司もいかがなものかと。

文重:どうもすいませんでした。

HGUC 1/144 RGM-79N ジムカスタム(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
HGUC 1/144 RGM-79N ジムカスタム(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
2016年はキャップの似合うジムカスタムを目指します!