ごきげんよう。有料メルマガ評論家の渡辺文重です。2014年は有料メルマガブームが終了した年だったと思っています。有料メルマガを配信している著名人の誰かが撤退した、という話ではなく、グリーやモブキャスト、インプレスといった企業が、有料メルマガ配信事業から撤退。カドカワによる「ちょくマガ」も、ニコニコチャンネルに吸収されるような形でのサービス終了が発表されました。これは、著名人を連れてきて有料メルマガを配信させても大してもうからない、あるいは、もうかる確率が低いことが明らかになったことが原因ではないかと想像しています。今後も、堀江貴文氏のような「1年間で1億円」規模の有料メルマガはもちろん、津田大介氏や山本一郎氏といった「先行者」を超える有料メルマガも生まれないでしょう。
その一方で、有料メルマガというサービスが消滅することはないと考えています。「先行者」がサービスを継続することは当然として、新たなムーブメントが誕生することが期待されるからです。
◆発言によるリスクの高まり
私が初めてパソコンを電話回線につないだのは、大学浪人時代の1992年だったと記憶しています。この時、草の根BBSの1つである「いるか倶楽部」に接続して投稿をしたことが、ネット投稿の初体験となります。ちなみに、「いるか倶楽部」の会員数は、「幽霊会員」を含めても約100名でした。その後、さまざまなサービスをへて「mixi」にたどり着き、そこから「Twitter」へと変化していきました。
私が「Twitter」のアカウントを開設したのは、2008年4月4日のこと。私にとって当時の「Twitter」は、知り合い同士によるコミュニケーションの場であり、「mixi」の延長線上に過ぎませんでした。当時は、うかつな投稿をすることもありました。もちろん、今でも失言をすることはあるのですが、それでも、ダイアログに文字を書き込んだ後、投稿を止める慎重さは、随分と身に付いたと思っています。
このような理由から、現在においては「Twitter」に限らず、インターネットに投稿することが一定のリスクになっていると判断されるのです。
◆リスク軽減のための有料メルマガ
最初に、誤解される人がいると思うので説明させていただきますが、有料メルマガだからといって何を書いてもよい、ということはありません。有料メルマガのみに書かれた内容であっても、侮辱や名誉毀損(きそん)になると判断されれば、何らかの処罰を受ける可能性はあります。また、「転載禁止」などの「マイルール」による免責が認められることはないと思われます。
しかし、そうした事情を踏まえても、有料メルマガであれば「炎上」するリスクを軽減することが可能となります。Twitterの発言であれば、フォロワーが20人であっても、全世界のインターネットユーザーが無料で当該の発言を参照することが可能となります。しかし、購読者数が20人の有料メルマガであれば、その記事を読める人間は20人に限られることになります。この差は、とても大きい。
「炎上」対策として、自身の発言の場を有料メルマガに移す。こうしたムーブメントが誕生すれば、有料メルマガは新たなブームを迎えることになるでしょう。
このように書くと「著名人でもない人間の記事を有料で買う人間がいるものか!」という意見が出てきます。それは全くその通りで、大きなビジネスになる確率は低いと容易に想像できます。TVに出演するような著名人であっても、有料メルマガの購読者を100名も集められないというケースも存在するのですから、非・著名人の有料メルマガが成功する確率は間違いなく低いはずです。ただし、それは有料メルマガを「ビジネス」と考えた場合の見方であり、「趣味」と考えれば、違った見方ができます。
例えば、「同人誌」だと考えればどうでしょうか。私は昨年12月に行われたコミックマーケットにて、女性声優の評論をテーマとした同人誌を入手したのですが、それらの価格帯は100円から1000円でした。正直、イラストにはそれほど興味がないため、イラストか評論かという内容確認はしましたが、細かい内容を精査することなく、購入することにしました。つまり、これぐらいの価格帯であれば、「面白そうだな」ぐらいの感覚で金を払う人がいるということです。
同人誌の頒布価格と、有料メルマガの1カ月当たりの購読料は、単純に比較できません。それどころか、「同人誌」や「有料メルマガ」というジャンルに限っても、価格帯はさまざまです。しかし、それでも「全く買い手がいない」ということもない。多くの人に売れるかどうかはともかく、「文章の市場」は確実に存在しているのです。
◆コミュニティーの核としての有料メルマガ
「文章の市場」という考え方は、あくまでも旧来の有料メルマガという概念の延長線上ですが、それとは別に、有料メルマガが「コミュニティーの核」としての役割を担うことになるとも考えています。すでに「オンラインサロン」という有料コミュニケーションサービスが存在していますが、これと同じだと考えてもらって問題ありません。正直、「オンラインサロン」は専門外のため、その事情は分からないのですが、著名人だからといって簡単に成功するとは限らない、という点においては、有料メルマガと共通しているのではと考えています。
そのように仮定すれば、「オンラインサロン」もまた、非・著名人による「趣味」のコミュニティーとして機能することが考えられます。そうした中、ニコニコチャンネルが新機能「イベント」を追加したことは、1つの象徴となるかもしれません。
・ニコニコチャンネルに新機能『イベント』を追加
http://info.dwango.co.jp/pi/ns/2014/1212/index2.html
有料会員を集める上で、対価となる「コンテンツ」を提供できることと同時に、コミュニティーを盛り上げていくスキルを持っていること。それは、かつての「草の根BBS」のシスオペが持っていたスキルなのですが、そうした「コミュニティーの核」となる人物が、プラットホームを使って集金を行い、さらに、コミュニティーを拡大していく。こうしたモデルが、新しい「有料メルマガ」のスタイルになるのではないか。ということで、2015年の有料メルマガ業界展望とさせていただければと思います。
※お知らせ
『渡辺文重の有料メルマガ批評』は現在、「タグマ!」「ブロマガ」「note」にて購読できます。
http://www.targma.jp/watanabe/
http://ch.nicovideo.jp/sammy-sammy/blomaga
https://note.mu/sammy_sammy
「タグマ!」の利点は、会員登録すれば、過去のバックナンバーが読み放題となること。「ブロマガ」の利点は、最初の2カ月間は1カ月分の料金のみで購読できること。(いわゆる「初月無料」)。「note」の利点は、公開直後から記事単位での購読が可能なことです。
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その一方で、有料メルマガというサービスが消滅することはないと考えています。「先行者」がサービスを継続することは当然として、新たなムーブメントが誕生することが期待されるからです。
◆発言によるリスクの高まり
私が初めてパソコンを電話回線につないだのは、大学浪人時代の1992年だったと記憶しています。この時、草の根BBSの1つである「いるか倶楽部」に接続して投稿をしたことが、ネット投稿の初体験となります。ちなみに、「いるか倶楽部」の会員数は、「幽霊会員」を含めても約100名でした。その後、さまざまなサービスをへて「mixi」にたどり着き、そこから「Twitter」へと変化していきました。
私が「Twitter」のアカウントを開設したのは、2008年4月4日のこと。私にとって当時の「Twitter」は、知り合い同士によるコミュニケーションの場であり、「mixi」の延長線上に過ぎませんでした。当時は、うかつな投稿をすることもありました。もちろん、今でも失言をすることはあるのですが、それでも、ダイアログに文字を書き込んだ後、投稿を止める慎重さは、随分と身に付いたと思っています。
ごめん、ウイルスサイトの可能性もあるみたいなんで、エマ・ワトソン死亡記事の投稿は削除しました。そうした慎重さを身に付けた理由の1つが「炎上」への警戒感です。「炎上」といえば、著名人の失言を発見した人が「2ちゃんねる」のスレッドに投稿。匿名のユーザーが集まり、失言をさかなにして盛り上がるという印象が強かったのですが、現在において「さかな」となるのは著名人に限りません。フォロワーが二桁のアカウントであっても、容赦なくつるし上げられる。それが、現在における「炎上」なのです。また、そうしたつるし上げによる集客がビジネスになっていることも、忘れてはいけません。
- 渡辺文重(有料メルマガ評論家) (@sammy_sammy) July 24, 2009
このような理由から、現在においては「Twitter」に限らず、インターネットに投稿することが一定のリスクになっていると判断されるのです。
◆リスク軽減のための有料メルマガ
最初に、誤解される人がいると思うので説明させていただきますが、有料メルマガだからといって何を書いてもよい、ということはありません。有料メルマガのみに書かれた内容であっても、侮辱や名誉毀損(きそん)になると判断されれば、何らかの処罰を受ける可能性はあります。また、「転載禁止」などの「マイルール」による免責が認められることはないと思われます。
しかし、そうした事情を踏まえても、有料メルマガであれば「炎上」するリスクを軽減することが可能となります。Twitterの発言であれば、フォロワーが20人であっても、全世界のインターネットユーザーが無料で当該の発言を参照することが可能となります。しかし、購読者数が20人の有料メルマガであれば、その記事を読める人間は20人に限られることになります。この差は、とても大きい。
「炎上」対策として、自身の発言の場を有料メルマガに移す。こうしたムーブメントが誕生すれば、有料メルマガは新たなブームを迎えることになるでしょう。
このように書くと「著名人でもない人間の記事を有料で買う人間がいるものか!」という意見が出てきます。それは全くその通りで、大きなビジネスになる確率は低いと容易に想像できます。TVに出演するような著名人であっても、有料メルマガの購読者を100名も集められないというケースも存在するのですから、非・著名人の有料メルマガが成功する確率は間違いなく低いはずです。ただし、それは有料メルマガを「ビジネス」と考えた場合の見方であり、「趣味」と考えれば、違った見方ができます。
例えば、「同人誌」だと考えればどうでしょうか。私は昨年12月に行われたコミックマーケットにて、女性声優の評論をテーマとした同人誌を入手したのですが、それらの価格帯は100円から1000円でした。正直、イラストにはそれほど興味がないため、イラストか評論かという内容確認はしましたが、細かい内容を精査することなく、購入することにしました。つまり、これぐらいの価格帯であれば、「面白そうだな」ぐらいの感覚で金を払う人がいるということです。
同人誌の頒布価格と、有料メルマガの1カ月当たりの購読料は、単純に比較できません。それどころか、「同人誌」や「有料メルマガ」というジャンルに限っても、価格帯はさまざまです。しかし、それでも「全く買い手がいない」ということもない。多くの人に売れるかどうかはともかく、「文章の市場」は確実に存在しているのです。
◆コミュニティーの核としての有料メルマガ
「文章の市場」という考え方は、あくまでも旧来の有料メルマガという概念の延長線上ですが、それとは別に、有料メルマガが「コミュニティーの核」としての役割を担うことになるとも考えています。すでに「オンラインサロン」という有料コミュニケーションサービスが存在していますが、これと同じだと考えてもらって問題ありません。正直、「オンラインサロン」は専門外のため、その事情は分からないのですが、著名人だからといって簡単に成功するとは限らない、という点においては、有料メルマガと共通しているのではと考えています。
そのように仮定すれば、「オンラインサロン」もまた、非・著名人による「趣味」のコミュニティーとして機能することが考えられます。そうした中、ニコニコチャンネルが新機能「イベント」を追加したことは、1つの象徴となるかもしれません。
・ニコニコチャンネルに新機能『イベント』を追加
http://info.dwango.co.jp/pi/ns/2014/1212/index2.html
有料会員を集める上で、対価となる「コンテンツ」を提供できることと同時に、コミュニティーを盛り上げていくスキルを持っていること。それは、かつての「草の根BBS」のシスオペが持っていたスキルなのですが、そうした「コミュニティーの核」となる人物が、プラットホームを使って集金を行い、さらに、コミュニティーを拡大していく。こうしたモデルが、新しい「有料メルマガ」のスタイルになるのではないか。ということで、2015年の有料メルマガ業界展望とさせていただければと思います。
※お知らせ
『渡辺文重の有料メルマガ批評』は現在、「タグマ!」「ブロマガ」「note」にて購読できます。
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http://ch.nicovideo.jp/sammy-sammy/blomaga
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「タグマ!」の利点は、会員登録すれば、過去のバックナンバーが読み放題となること。「ブロマガ」の利点は、最初の2カ月間は1カ月分の料金のみで購読できること。(いわゆる「初月無料」)。「note」の利点は、公開直後から記事単位での購読が可能なことです。
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