◆イントロダクション
さて、ひとことに「アニメ鑑賞」と言いますが、その楽しみ方は多種多様です。スタジオジブリの作品が好きだという人もいれば、ディズニーやピクサーの作品も好きな人もいるでしょうし、『機動戦士ガンダム』のようなロボットアニメが好きだという人もいるでしょう。そのため、自分の趣味としている「アニメ鑑賞」を、やや狭義に提示しますと、いわゆる「深夜アニメ」が好きで、「声優ファン」として鑑賞している、となります。もちろん、深夜アニメ以外の作品を、声優のキャスティングなど気にせずに、楽しむこともあるのですが、一番の興味はそこにある、ということです。
「アニメ鑑賞」の方法は多種多様なため、「アニメ鑑賞」が好きだという人が集まっても、全く話がかみ合わないことがあります。そうした差異は忌むべきものではなく、むしろ、その差異を埋めていく作業にこそ、コミュニケーションの面白さがあると思っています。
今回は、そうした差異を踏まえて、私のアニメ鑑賞法を紹介できればと考えています。
◆実況
3月9日(日)、山形県某所で、第1回『有料メルマガ批評』オフ会を行いました。その参加者である、べにすぼおい氏(@benisboy)とアニメについて語り合ったのですが、環境によって、随分とアニメ鑑賞の方法が違うのだと感じました。
私はべにすぼおい氏の自宅にお邪魔して、氏のアニメ鑑賞方法を見学させていただいたのですが、これをひとことで表すと「AT-Xで実況」となります。ワンランク上のアニメ専門チャンネルである「AT-X」にて放送されるアニメ番組を見ながら、Twitterに感想を書き込んでいる様子が印象的でした。
※一応、補足しますと、AT-X以外、例えば、BS11などで放送されているアニメも鑑賞されています。
HDDレコーダーに録画したアニメ番組を、任意の時間帯に鑑賞している私とは大違いです。任意の時間帯にアニメを鑑賞するということは、時間の制約を受けないというメリットがあると同時に、リアルタイムに行われる実況には参加できないことを意味します。しかし、私はそのことを何とも思っていません。このことからも、2人の間には「実況」に対する価値観に違いがあることが分かります。
また、実況に重きを置くということは、その放送が「最速」かどうかも重要となるはずです。ライトノベルや漫画が原作のアニメであれば、多少のネタバレは仕方ないと許容できるかもしれませんが、アニメオリジナル作品でネタバレをされることは、著しく興をそぐことになると想像できます。私の体験としては、放送が中断された『魔法少女まどか☆マギカ』の10話の情報を耳に入れなことに、どれだけ注力をしたか……。
◆声優
次に、声優に対する価値観も大きく異なることに気付きました。東京都在住の私にとって、声優は「身近」な存在です。もちろん、有名声優と電話番号を交換しているとか、そういうことは一切ないのですが……。週末には、自宅から1時間以内で行ける場所で、声優が参加する何らかのイベントが行われているため、意外と身近に感じられる存在だということです。ぶっちゃけると、「イベント参加権」の有無が、CDやBlu-rayを購入する基準となり得るのです。
しかし、山形県在住となると、都内某所で行われる2時間弱のイベントに参加できるかもしれない権利は、CDやBlu-rayを購入する基準とは、なりにくいようです。私にとって都内某所は、1時間以内に行ける場所ですが、山形県からとなると片道4時間はかかる計算となります。気軽に行けるという感覚ではありません。
ちなみに、オフ会を行った週末、田村ゆかりさんが土曜日に宮城県で、日曜日に岩手県でライブを行っていたのですが、山形県から宮城県や岩手県に行くことも、気軽ではありません。仙台や新潟でのイベントに行くぐらいならば、東京に飛行機で行った方が時間がかからない、とのことでした。
そうなると、声優に対する興味の持ち方、熱量に差が出ることは、当然に思えてきます。もちろん、田村ゆかりさんや水樹奈々さんのような、全国ツアーを行える声優アーティストのファンは、日本全国にいらっしゃることと思いますが、新人声優などに対する感覚は、東京と地方では異なってくるはずです。東京都在住であれば、ちょっと興味がある声優さんが出演するイベントに気軽に参加できますが、山形県在住だと、気軽にという感覚は持てないようです。
このように書くと、東京都在住の方が楽しいイメージはありますが、べにすぼおい氏によれば、「毎週イベントがあって楽しそうだけど、かえって疲れないかと思う」とのこと。これは、私にとって耳の痛い指摘で、実際、イベントに参加することで失っている何かがあるはずなのです。
単純に、肉体的な疲労回復の機会は失われていますし、アウトプットの時間も削られます。インプットがなければアウトプットもできないのですが、そのバランスを崩さないように注意しなればなりません。イベントへと足を運ぶ積極性は大切ですが、「行けるイベントは行かないと損」という心理状態になると危険です。東京都に住むということは、その危険と隣り合わせだとも考えられるのです。
◆CM
そして、最後に1つ。これが最も大きな違いだと感じたのですが、コマーシャルに対する認識が全く異なっていました。
私は、主に、地上波民間放送TV局、具体的には日テレやTBS、フジテレビ、テレビ東京、東京MXなどで放送されているアニメを鑑賞しています。民放において、多くのアニメ作品は30分間という枠内で放送されていますが、そのうち、アニメ本編は約25分間となっています。そして、残りの5分間がコマーシャルとなるのですが、このコマーシャルを放送することこそが、民放のビジネスモデルとなっています。そう考えると、コマーシャルこそがメインのコンテンツであり、アニメはおまけという図式となるのです。
そうは言っても、私のようにHDDレコーダーに録画をしてアニメを鑑賞する人の多くは、スキップ機能などを使い、コマーシャルを見ないケースが多いのではないかと思います。しかし、私は、コマーシャルにこそ、アニメ作品を理解する上で重要なヒントが隠されていると考えています。アニメ作品はコマーシャルを流すために作られているのですから、必然的に、アニメ作品はコマーシャルの影響を受けることになるのです。
アニメがどのような資本で作られてきたかは、森川嘉一郎氏の考察などが有名です。
・"リア充"ではなく"厨二病"と歩んだ「オタク文化の10年」(明大アニ研シンポ前編) アキバ総研編集部
http://akiba-souken.com/article/akiba/8008/
■アニメにおける「3つのステージ」それを踏まえて、いわゆる「レコード会社と角川書店」が何を売りたいと思っているか知ることは、非常に面白いと感じています。例えば、原作書籍なのか、ゲームなのか、企業イメージなのか、実写映画なのか……。そうしたことを考えてみると、アニメ作品内の作画のクオリティーや物語の展開に合点が行く場合があるのです。
・どういう資本でアニメが作られてきたかに注目。
①お菓子メーカー(紙芝居の名残)・・・・・②バンダイなど玩具メーカー(ガンプラヒットの反復狙い)・・・・・・<エヴァブーム>・・・・・・・③レコード会社と角川書店(OVAなどパッケージ化して作品自身を売る)
つまり、
①大人が子どものために作っていたが、②(ガンダムを機に)製作側にオタクが参入し、見る側もオタク層が多くを占めるようになり、③やがてオタクのためだけのものになった。そのため、アニメに対する意識の違いが世代間で大きくある。
しかし、AT-Xにおいては、こうしたコマーシャルが放送されないのです。そうなると、話がかみ合わなくなります。例えば、べにすぼおい氏と一緒に『弱虫ペダル』を鑑賞した時のこと。私は、『弱虫ペダル』が『テニスの王子様』のようにミュージカル化されていることに注目していたのですが、氏はミュージカル化について知らないようでした。
テレビ東京で『弱虫ペダル』を鑑賞していれば、舞台『弱虫ペダル』のコマーシャルを見ることになるのですが、AT-Xでは当該のコマーシャルが流れないのです。私も、同じコマーシャルを何回も見る必要はないと思っているため、適宜、スキップ機能を使っているのですが、それでも、この違いは大きいと感じました。しかしながら、AT-Xでコマーシャルを流した方が良いのかといえば、圧倒的に「No!」と答える人が多いことは容易に想像できます。
◆いったん、まとめ
今回は、私のアニメ鑑賞法について、その概要を記しましたが、次回は、私がどのようにアニメを鑑賞しているのか、2014年冬アニメを例に挙げて紹介したいと思います。……次回? ……時間を見つけて、きちんと原稿を執筆したいと思います。
コメント
コメントを書く(ID:9767913)
放送内容統一しろってこと?
地域によって放送の仕方が違うから無理だと思う
(ID:32734723)
イベントは地方民涙目だよなー
声優好きだけどアニメで声優を気にすることはあんまりないなー 最初の数羽は●●さんだーって思うけど自然とキャラの声になる 例外もいるけど
(ID:35493588)
一方大阪は・・・