ごきげんよう。有料メルマガ評論家の渡辺文重です。

2016年の忘年会では「今年のベストアニメは何だろうね?」なんて話題で盛り上がりました。いろいろな意見があり、それらは傾聴に値するものでしたが、私の答えは「告白実行委員会(映画部門)とアイカツスターズ!(TV部門)」でした。「アイカツスターズ!」は映画も素晴らしかったのですが、今回は「告白実行委員会」の素晴らしさについて記したいと思います。

2016年のベストアニメ、7分で分かる「告白実行委員会」

◆告白実行委員会とは何か

「告白実行委員会」は、HoneyWorks(以下、ハニワ)による楽曲が原作で、「ずっと前から好きでした。」(以下、ずっ好き)と「好きになるその瞬間を。」(以下、好き瞬)が、2016年にアニメ映画として公開されました。

ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~
http://www.honeyworks-movie.jp/1st/

好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~
http://www.honeyworks-movie.jp/2nd/

この2作は舞台が同じで、登場人物もかぶっており、その人物相関図もハニワのWebサイトで明らかになっています。

http://honeyworks.jp/special/#character

「ずっ好き」は、隣の家に住む幼なじみ、榎本夏樹(声優:戸松遥)と瀬戸口優(声優:神谷浩史)、そして夏樹に片思いする綾瀬恋雪(声優:代永翼)の物語で、「好き瞬」は綾瀬恋雪に恋する優の妹・雛(声優:麻倉もも)と夏樹の弟・虎太朗(声優:花江夏樹)の物語となっています。

なお、榎本夏樹は女性キャラクターで、その弟を演じる花江夏樹さんは男性です。

◆7分で分かる告白実行委員会

「ずっ好き」と「好き瞬」の内容は、ハニワがYouTubeやニコニコ動画で公開している動画を見れば分かります。

┗|∵|┓告白予行練習/HoneyWorks feat.GUMI
https://www.youtube.com/watch?v=YNkL6A1WRY8

動画「告白予行練習」の2分40秒間で描かれている内容が、そのまま「ずっ好き」の内容です。本当にそのまま。もちろん映画では、夏樹と優の友人たち、そして恋雪も登場して、いろいろとヤキモキさせられるのですが、主なあらすじは、この動画で描かれている通りです。

┗|∵|┓今好きになる。/HoneyWorks feat.初音ミク
https://www.youtube.com/watch?v=WqlpuarOvq8

そして動画「今好きになる。」の4分19秒間で描かれている内容が、そのまま「好き瞬」の内容となっています。こちらも、本当にそのまま。映画では雛や虎太朗の同級生も登場しますが、それはオマケみたいなものです。

「告白予行練習」と「今好きになる。」、合計で約7分間。これだけで「ずっ好き」と「好き瞬」のあらすじは完璧です。映画鑑賞前に見てしまうとネタバレになってしまいますが、そんなことを気にする必要はありません。夏樹と優が結ばれることは、「ずっ好き」を見れば、すぐに分かります。というか、予告編を見れば誰でも気付くはずです。「好き瞬」に至っては、時代がさかのぼって中学から物語が始まりますが、それぞれの恋の行方は「ずっ好き」で明らかになっているので、「そりゃそうですよね」という確認作業です。

「ずっ好き」と「好き瞬」は、物語の意外性を楽しむ作品ではなく、戸松遥さんや神谷浩史さんといった声優が演じるキャラクターたちに、ひたすらキュンキュンして楽しむ作品ですから、ネタバレとか、そういったことを気にする必要は一切ないのです。

◆エンディングで明らかになる恋の行方

「ずっ好き」は、夏樹と優が結ばれてハッピーエンドとなるのですが、早坂あかり(声優:阿澄佳奈)、合田美桜(声優:豊崎愛生)、望月蒼太(声優:梶裕貴)、芹沢春輝(声優:鈴村健一)といった、魅力的な同級生も登場します。その中でも、美桜と春輝は、お互い好き同士でありながら、何の進展も描かれないままに、エンディング楽曲「一分一秒君と僕の」が流れてきます。

すると楽曲に合わせ、後日譚(たん)を描いたイラストが映し出されます。この楽曲のヒロインは美桜です。「お、ついに来た!」と思ったのもつかの間、何の進展もなく美桜たちは卒業。そして春輝は海外に旅立ち、美桜は社会人となるのでした。「え~、何それ!」と思ったのですが……。続きはYouTubeで確認してください。

HoneyWorks meets スフィア 『一分一秒君と僕の』
https://www.youtube.com/watch?v=t45PfVikU2s

一方「好き瞬」は、雛が失恋して終わるのですが、それでは、虎太朗の思いは通じるのか……。その答えは、エンディングでヒントが示されています。

大嫌いなはずだった。/HoneyWorks feat.GUMI&初音ミク
https://www.youtube.com/watch?v=xTDXwn9_878

◆告白実行委員会、最大の魅力

「あぁ~、こんな高校生活送りたかったなぁ~」と胸をキュンキュンさせるアニメ作品は、これまでにも数多く公開されてきました。そうした中で「ずっ好き」と「好き瞬」ならではの魅力を挙げるならば、それはやはり「幼なじみが結ばれる」に尽きると思います。

私・渡辺文重は、これまで43年ほど人生を送ってきたのですが、これまでで「人生をやり直したい」と思ったことは一度もないんですよね。もちろん、もっと勉強しておけば良かったとか、あんなことを言わなければ良かったとか、そういう後悔はあるのですが、そうした失敗も含め、自分の人生に満足しているんですよ。ある1点を除けば……。それは「隣の家に、幼なじみの女の子が住んでない」ことです。

こればかりは人生をどの時点でやり直したとしても、修正されないんですよね。幼い自分には、どこに住むかを決める権利なんてないですからね。だから、幼なじみがいる人が本当にうらやましい。あだち充先生の「タッチ」なんて最高だと思うんですよね。

しかし、しかしですよ。昨今の深夜アニメのラブコメときたら、幼なじみって、基本的に負けヒロイン扱いじゃないですか。なんで隣にかわいい幼なじみが住んでいるのに、転校生とかに心を引かれてしまうのか。持てる者のおごり。ホント、それが許せんのですよ。

その点、「ずっ好き」と「好き瞬」は、隣の家に住んでいる幼なじみとラブラブになる物語ですから、素晴らしいとしか言いようがない。それにしても、隣の家に幼なじみである戸松遥さんや麻倉ももさんが住んでいる人生、送ってみたいですね。と言いつつ、一番好きなキャラクターは美桜なのですが。

執筆者:渡辺文重
1973年6月29日生まれ。福岡県北九州市出身の東京都北区育ち。滝野川第二小学校→滝野川中学校(現・滝野川紅葉)→都立北園高校→(一浪して)日本大学文理学部史学科。パチンコ店ホール勤務、パソコン雑誌のライターを経て、2003年に父の「渡邉文彌設計事務所」を引き継ぎ、有限会社ブンヤ(※)を設立する。フリーランス編集者/ライター。有限会社ブンヤ取締役。現在はWebサービスの企画、運営、編集、執筆などを行っている。

※しばしば質問されるのですが、ブンヤの由来は「父の名前」です。