働く理由は一人一人違いますが、ひとつ共通しているのは、接客や料理を通じて生まれる「笑顔」が好きということ。そんなスタッフが思い入れのあるレシピを、エピソードと一緒に紹介します。
第八回目は、212カフェ・天王洲店 小倉 優里 よりお送りします。
『一年の締めくくりは、いつだっておばあちゃんの「くるみ餅」』
大阪府岸和田市にある私の実家では、毎年12月30日、祖父が幼い頃から餅つきが行われています。その伝統は、ざっと計算しても90年近く続くもの。
身体に染みついているのでしょうか。年末が近づけば、不思議と「そろそろだなぁ」とわくわくしてきます。
今年の餅つきも、もちろん参加してきました。その日は朝6時頃、「ドスンッペタン、ドスンッペタン」と餅をつく音で目が覚めます。
50年以上使い続けている石臼、杵、もち米を蒸すセイロは見慣れた光景。
私、姉、妹はいつも、8時過ぎにやっと庭へ出て手伝いを始めます。
セイロは薪で火を焚き、私はいつも火の番担当…ここでしか言えないその理由は、あったかいから。
9時を過ぎると、親戚やご近所さんも集まり、とってもにぎやかな宴会が始まります。
鏡餅用のおもち、桜エビや青のりの入ったかき餅用(薄切りにして焼くとおかきみたいになる)のおもちなど、ぞくぞくとできあがりました。
朝からお酒を飲みながら、できたてほやほやの白餅を、きなこや大根おろしで食べるのも定番ですが、私の一番の楽しみは岸和田名物、大豆餡の「くるみ餅」。
おばあちゃんの「くるみ餅できたで~」の一言が、いつも待ち遠しくて仕方ありません。手作り感のある、甘すぎない大豆餡が大好きです。
ちなみに…くるみ餅は地域によって違いがあるそうで、仙台などではくるみを使ったくるみ餡が使われたお餅、大阪府堺市の銘菓であるくるみ餅は「包んだ餅(くるんだもち)」を指します。また、私の地元、大阪府岸和田市では大晦日だけでなく「だんじり祭り」の時にも食べる家庭が多いんです。
大人になればなる程、長年続く家庭行事の大切さが身に染みて分かるようになりました。餅つきも、くるみ餅の味も、これからも変わらないよう受け継いでいきたいと思います。
「おばあちゃんのくるみ餅」
【材料】(5~6人分)
・大豆 250g
・白餅 約8個(今回は1個50gのお餅です)
・きび砂糖 200g
・醤油 小さじ1
・塩 小さじ0.5
【作り方】
1. 大豆をたっぷりの水で茹で、沸騰したらざるにあける。(あく抜き)
2. 大豆と大豆の3倍の量の水を圧力鍋にいれ、15分加圧する。
3. 加熱した大豆をミキサーにかけ、ペースト状にする。
4. 鍋に移して、砂糖、醤油、塩を加え弱火でかき混ぜながら煮る。(様子を見て水を加え、硬さを調節)
5. 白餅と和えたら完成です。
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