212キッチンストアでは、接客が好き、お料理が好き、キッチングッズが好きというスタッフが働いています。
働く理由は一人一人違いますが、ひとつ共通しているのは、接客や料理を通じて生まれる「笑顔」が好きということ。そんなスタッフが思い入れのあるレシピを、エピソードと一緒に紹介します。
第二回目は、212キッチンストア・熊本嘉島店 内田 寿子よりお送りします。
「母さんのパウンドケーキ」
「かあちゃん!わたしはポテトチップスとかパイの実とか買ったお菓子が食べたかと!!」
小さい頃の私の口癖だった。
私の母さんはお菓子作りが大好き。学校から帰ると、家にはいつも甘い香りが漂っていた記憶がある。
パウンドケーキ、おはぎ、かるかん、カステラ、いきなり団子(熊本名物)、蒸しパン…。正直子供心にはあまり嬉しくないものが多かった。
それもこれだけの量誰が食べるのかと思うくらい作っては、ご近所に配ったり、友達の家に持っていったり、時には学校にまで大量に持ってくる母さんが、たまに嫌だった。嫌というか恥ずかしかったのかもしれない。
専業主婦だった母さんはもしかしたら、お菓子屋さんをしているのではないかと思ってた時期もあったくらい、いつもいつも台所で甘い香りを漂わせていた。
私が大きくなっても、母さんは変わらない。そういえば、少し前はみょうが饅頭(みょうがの葉で巻いてある)やおはぎ、そして先週にはパウンドケーキを焼いていたなぁ。
中学校の同窓会でのこと。
「うっちゃんのお母さんのケーキ食べたかぁ~」
「うっちゃんのお母さんのケーキおいしかったよねぇ~」
「お母さん元気ね?」
「ひとりひとつずつ取ったあと、みんな2個目がほしくてジャンケンしよったよね~」
「懐かしい~、マジでまた食べちゃー」
「うっちゃん家いくといつも美味しいケーキとかおまんじゅうとか羨ましかったぁ」
「えっそうなの?」
母さんのパウンドケーキは、みんなの思い出の味になっていた事を知った。
今になって分かる。
母さんは、誰かの笑顔の為に、私のそして家族の笑顔の為に、美味しかったと言ってくれる人がいれば、笑顔で台所に立ってたなぁ。そして、いつも楽しそうだった。
母さん、小さい頃はわからなくてごめんね。今ならわかるよ、ありがとう。
私は、母さんみたいな母さんになりたい。私の小さい頃の思い出には、映像だけでなく甘い香りが記憶されている。
あー母さんのパウンドケーキが食べたくなってきた。
「母さんのパウンドケーキ」
【材料】(1本分)
・薄力粉 100g
・砂糖 80g
・バター 100g
・卵 1個
・ベーキングパウダー 小さじ1/2
・粉砂糖 少々(出来上がりに上にかける)
・中に入れるもの
レーズン・ドライフルーツ・バナナ・くるみなどあるものを入れます
自宅ではレーズンをラム酒に漬けてあり、それを入れることが多いです
【作り方】
1. バターを常温にもどし、滑らかになるまで混ぜる
2. 何回かに分けて砂糖・卵を入れて混ぜる(3回くらいに分けて)
3. 薄力粉とベーキングを一緒にして、ふるいに掛けて入れ混ぜる(これも何回かに分けてざっくりと混ぜる)
※こねるようにまぜるとよく膨らまないので、ヘラをきるようにして混ぜる感じです
4. 型に入れる(型の周りにバターを塗って薄力粉をまぶしとておくと、焼き上がりがキレイに抜けます)
温度は180度で30~35分(自宅はデロンギのミニコンベクションオーブンです)
5. 出来上がったら型からだし、上に粉砂糖を振り掛ける
これまでの想い出レシピはこちらから。
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