Text by Maxwell Zeff – Gizmodo US[原文]( そうこ ) ギズモード・ジャパンより転載。

スマートフォンを買い替えた時、一緒に買いがちなもの。ケース、ストラップホルダー、スマホリング、カードがはいるスリーブ、etc……。スマホの使い方によって手にするアクセサリはさまざまですが、中でも多くの人が購入するのが画面保護フィルム。

画面保護フィルムは、100円から数千円のものまで価格も種類もさまざまです。スマホの保護フィルムの市場規模は500億ドルにもなると言われており、2030年には860億ドル規模に成長するという予測もあります。

……保護フィルムって意味あるのかな?

スマホ自体が高価格化する昨今、スマホを、画面を守りたいと思うのは当たり前。画面のヒビはもっとも一般的なスマホのダメージであり、そこから水が侵入してバッテリーに干渉するなど、大きな故障につながる恐れもあります。

一方で、スマホだって進化しており、ここ5年でスクリーンの強度は飛躍的にアップ。ディスプレイの専門家の間では、ここ数年、もう画面保護フィルムはいらないという意見まで出ています。

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保護フィルムは不要? 有識者の見解

米Gizmodoの取材に答えてくれたのは、画面のキャリブレーションや評価などを行うDisplayMate TechnologiesのCEO、Raymond Soneira氏。いわく「(保護フィルム)が特に有益ということはないんです」そう。

ちなみに、Soneira氏は保護フィルムは使っておらず、ケースのみ。ただ、スマホの扱いは常日頃丁寧を心がけており、そもそも落とすことは稀だといいます。

Soneira氏が落下よりも心配するのは、フィルムを使うことのデメリット。フィルムによって画面の反射が大きくなり、結果、フィルム不使用時よりも画面を明るくすることになります。すると、当然バッテリーもちが悪くなります。

iFixitのエンジニアCarsten Fraunheim氏は、細かい傷への対策にはなるとして、保護フィルムの意味はゼロではないとしつつ、昔より保護フィルムの必要性が低下しているのは事実だといいます。

スマホのガラス技術は、年々割れに強くなってきています。画面フィルムの落下の衝撃から守るという利点は失われていますね。

スマホの修理サービスManhattan uBreakiFixの技術者Trey Barnettさんは、仕事を通して過去14年ほど、数えきれないほどの画面割れスマホを見てきたといいます。ただ、最近は以前ほど目にする機会はないのだとか。

スクリーン自体が強化されているからですね。とはいえ、だからスマホを壊す人がゼロになる、というわけではないですけどね。

ディスプレイとフィルム、どちらも進化

2021年、AppleはiPhoneのスクリーンに「Ceramic Shield」という素材のガラスを採用。これはCorningの商品であり、Corningこそ、2007年リリースの初代iPhoneのGorilla Glassを作った会社です。当初はプラスチックを想定していた初代iPhoneの画面ですが、スティーブ・ジョブズ氏が強化ガラスの作成をCorningに依頼。6ヶ月で仕上げてくれと言ったのは有名な話です。

Gorilla Glassは、初代リリースから10年ほどiPhoneで採用され、今も多くの他社スマホに搭載されています。強化ガラスではあるものの、初代iPhoneでは今ほどの強度はありませんでした。2008年のAppleコミュニティでは、スクリーンの傷や割れ報告が相次いでおり、画面保護フィルムってどうよ? というディスカッションも盛んに行われていました。

しかし、画面保護フィルムも、当時は今ほど優れてはいませんでした。フィルムを貼ることで、画面が見にくくなった、感度が鈍って操作性が下がったという声もよく耳にしました。

スマホの登場から時を経て、画面も画面保護フィルムもどちらも進化しているのです。Appleいわく、Ceramic ShieldはGorilla Glassの4倍落下の衝撃に強いといいます。保護フィルムは、画面を守るだけでなく、写り込み防止やのぞき見防止など、保護以外の役割もかねるようにもなりました。

でも、なんとなく保護フィルム貼っちゃう

スマホのディスプレイは強化されている。そう聞いても、なんとなく保護フィルムを貼ってしまう人は少なくないはず。過去、実際にスマホを落とし、保護フィルムのおかげで画面が無傷だったという経験から。または、その経験を持つ親しい人のアドバイスから、人はフィルムを貼らずにはいられないのです。

画面ヒビ・割れの修理代よりも、保護フィルムの方が圧倒的に安いのも支持される理由でしょう。

もしもの時のために……。貼らないよりは貼った方が……。保護フィルムは、もはや画面よりもユーザーの心の安心のために存在しているのかもしれませんね。

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