Photographed by 田中宏和
正直、ここまで効果的だとは思いませんでした。これは本気で“買い”です!
ところでロードバイクなど、もともとレース機材であるスポーツ自転車のサドルって固いですよね。もちろん、それにはいくつか理由があります。
ひとつには、何時間も争われる自転車レースでは、一般的なパンツは衣擦れ(擦過傷)の原因となるため、レーサーはお尻にぴったりフィットしてズレないサイクルパンツ(クッション付きのパンツ)を装着します。
結果的に、サドル側のクッション性はそれほど重要ではなくなるので、軽量化できて安定感も得られる固いサドルが使われるというわけです。
娘をお尻の痛みから救うために開発
「Air Seat」を開発したピーター氏の娘さんは、クッションの厚いサドルやサイクルパンツを試してみても、サイクリングでお尻が痛くなってしまうという悩みを抱えていたそう。
そこで一念発起したピーター氏。シートポスト(サドルの柱)に伝わる振動を研究すること10年、ついに、効果的に振動を打ち消せるフルフローティング・サドルサスペンション・システムを完成させました。
「Air Seat」がなめらかに動作する様子は、上のGIF動画で見てのとおり。
フワフワしていて不安定そうな印象があるかもしれませんが、実際にはカッチリした安定感も失っていないところが、「Air Seat」のスゴいところ。
後側に付いているダンパー付きサスペンションは、オートバイや車に使われるものと同じ仕組み。
路面上の凹凸や段差でサドルが突き上げられたとき、グッと踏ん張れる強いバネと、バネの跳ね返りを抑えるダンパーを組み合わせて、スムーズに動くように設定されているわけです。
これとは別に、前側に付けられているサスペンションは、ねじり方向に作用するもの。
もし、前側と後側のサスペンションが前後逆についていたとしたら、サドルが捻じれる感覚を強く感じ、不安定な印象になっていたかもしれませんが、その点も問題なし。
実に上手く設計されていると思います。
実際に装備してテスト走行してみた
ともあれ、せっかくお借りできたので、どんな乗り心地になるのか興味津々で愛車に装着し、テスト走行してみました。
今でこそミニベロで通勤するだけになってしまったものの、かつてはレースにも出場していたくらいロードバイクに乗り込んでいた私のお尻は、それなりに衝撃耐性ができています。そこで、今回あえてサイクルパンツを履かず、ラフな格好で軽く20kmほど流してみることにしました。
結果は、冒頭の感想に。
腕や脚はいつもどおりの疲労感があるのに、サイクルパンツを履いていないお尻が、いつもより全然楽というのは、実に不思議な感覚でした。
正直もう取り外したくないのですが、お借りしているサンプル品なのでそうもいかず。公開終了日を待って、在庫が残っていれば自腹でオーダーしようと考えています。
シートポストの調整幅を確認
ところで重量こそ約250gなので、レースに出る人でもない限り、気にするほどの重量増ではありませんが、サドルの高さが約32mm高くなる点には注意が必要です。
シートポストを目一杯下げた状態でギリギリ乗れている、というような場合には、残念ながら「Air Seat」を装着することはできません。
その他、詳細な設置要件については、リンク先でご確認ください。
また、我が愛車のサドル下がカッコ悪くなってしまわないかと心配していましたが、これも個人的には問題なし。
むしろ自慢ネタとしてアピールしたいと思うレベルで、シルバーに輝くサスペンションがいい味を出しています。
お尻の痛みに悩んでいる人はもちろん、長距離ライドの疲労感を軽減したい人にも、街乗りメインでサイクルパンツを使っていないという人にも、ぜひ試してみて欲しいアイテムでした。
「Air Seat」は、現在machi-yaで絶賛公開中。執筆時点で残っていたのは、一般販売予定価格から11%OFFのリターンのみ。
売り切れてしまったら、次のチャンスがいつになるかは分かりません。気になる人は、早めにチェックしておきましょう!
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