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俳優・岡田義徳さんが10年後も手放さないモノ

2020/12/02 21:30 投稿

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10年という月日が経つと、いま住んでいる部屋も、立場や環境も大きく変わってきます。ただ、たとえ環境が変わっても「これだけはずっと持っていたい」というモノが、ひとつはある……。

そこで、さまざまなジャンルで活躍する方々に「10年後も手放さない」思い入れのあるモノを、31×34.5cmという限りのある『ROOMIE BOX』の中に詰め込んでもらいました。

なぜ、「10年後も持っている」と考えるのか―――。大切に持ち続けるモノについて語る姿から、その人の暮らしが徐々に見えてきます。

俳優 岡田義徳


1994年にドラマ『アリよさらば』(TBS)で俳優デビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『純愛湘南組!』、『電影少女‐VIDEO GIRL MAI2019‐』、『主婦カツ!』、映画『王様になれ』(19)、『3人の信長』(19)、『生理ちゃん』(19)、『コンフィデンスマンJP』(19)、『今日も嫌がらせ弁当』(19)、舞台『銀河鉄道の夜2020』(9/20~ 白井晃 演出)、『泣くロミオと怒るジュリエット』(20 鄭義信 作・演出)など。『No.9-不滅の旋律-』(12/13〜1/7公演 白井晃 演出)
Instagram:yoshinori_okada_44

10年後も手放さないモノ

アナログのめんどくささを、いちいち感じたい

たぶん「10年後も手放さないモノ」って、もうすでに5年、10年使い続けているものだと思うんです。そういう意味では、25年前くらいに買ったこのポラロイドカメラは、おそらく10年後も持っているであろうモノ。

買った当時は、ちょうどGRとかが流行っていた時代。ぼくもカメラに興味がありましたが、とりわけアナログなものが好きだった。“これぞポラロイド”的なゴツさにも惹かれました。

アナログ好きは昔からで、レコードも4000枚くらいあるし、スピーカーも5.1じゃなく、2.1チャンネルの巨大なものを使っています。いまやiPhoneだって十分に写真は撮れますが、デジタルで撮った写真をあえて焼いて子どもに見せてあげたり。そうしたアナログな作業をすることも。

アナログのめんどくささがいいというか。「そもそもはこうだった」ということを、いちいち感じたいのかもしれません。あとは、シンプルにスタイルだと思う。ハタから見たら「おしゃれぶって」なんて思われるかもしれないけど、ただそれが好きで、気持ちいいからやってる。それだけなんです。

地元岐阜から東京に出てきてから空を見る機会が減ったからか、もっぱら風景を撮っています。なんでもない風景を、「空7:地面3」くらいで撮ったものが多いかも(笑)。

最近は、2歳の息子の寝顔を撮ったりすることも増えてきた。自己満とも思うけど、彼が20歳くらいになったときに、「こんなことをしてくれてたんだ」と思ってもらえたら嬉しいですね。

そのひとの個性が表れる“小物”は、それゆえ長年の相棒に

20代の頃から、どこに行くにもブーツを履いています。

特にエンジニアブーツが好きで、これは「DERIVE BOOT MAKER」という友達のブランドでオーダーメイドしたもの。これ以外にも、グリーンとエンジ色のものを持っています。

特別にあつらえてもらったものなので、たとえばヒールがブロックなら普通トゥもブロックなのですが、ぼくはフラットが好きなので、トゥだけフラットにしてもらって。パンツが入らないといけないので、シャフトも細めに。

靴や帽子、時計といった小物って、そのひとの個性が表れる部分だと思います。そうしたモノって、やはり長く使っていることが多い気がする。ぼくが今日かけている軍モノのヴィンテージ眼鏡にしても、10年選手。鼈甲の具合や形が気に入って、偏光レンズを入れて使っています。

20代の頃といえば、パンクスの全盛期。ぼくはマーチンひと筋で、「スニーカーは、スケーターやヒップホップをやるやつが履くもんだ」なんて思ってさえいた。

いちばん長く履いているのはレッドウィングのエンジニアブーツ。黒のヌバックだったのが、どんどん色が抜けてグレーになって。染色剤の入ったバケツに、何度か沈めました。そうまでして履きたいのは、単に「慣れ」の問題かも。自分の足に合っているから、スニーカーを履く方が、逆に疲れてしまったりするんです。

音楽が影響して革靴にハマったのと同じように、ファッションへの目覚めも、たぶんそこから。まわりにかっこいい古着を着てるやつがいたり、パンクスやスケーターの格好を見て育った。

そうしているうちに、今度はまわりの仲間がアパレルブランドをはじめたりして。一緒に考えてモノを作ったりするようにも。そうやって、生活と音楽と服は、ずっと密接だったんです。

残す、残さない。その基準は、「しんどかったか」

バンドTオタクの友達は、「博物館モノになるから手放さない方がいい」と言っていました。このプリントの具合に、タイダイ柄のボディ、かつオフィシャルという条件が揃うことは、もうない。大事に取っておいて、息子にでも着させてあげてくれ、と。

とはいえ、なんでもないTシャツと同様に、ふつうに着ています。洗濯機にもかまわず突っ込むし。褪せてきたら褪せてきたで、存在していればいいかなと。

バンドTはけっこう持っていますが、昔はオーバーサイズで着ることなんてまずなかったから、どれもMサイズくらい。ぼく自身も当時より体格が大きくなっているので、ほとんどは着られないんです。やはり、リサイズして子どもに着させるか。それとも、売ってしまうか。

集めてきたものを、残すか、残さないか。結婚して子どもができてから、そのあたりの考え方は変わりました。「取っておいて、どうなる?」と。それよりも、残す先があるもの、ないもの、きちんと分けられるようになった。

昔は台本なんかもいっぱい残してありましたが、いまは、思い入れのある何冊かだけに。残す、残さないの基準は、しんどかったかどうか。つまり、自分が成長する過程がそこに残されているかどうかですね。日記や手帳と同じようなものかもしれない。

人って、数年おきに同じようなことにぶつかったり、悩んだりするもの。失敗を繰り返したりもするので、そうしたときに、振り返るためのモノ。そう考えるようになりました。

俳優 岡田義徳さんの10年後

仕事で言えば、作品に名前を残せるようなバイプレーヤーでありたい。そういうことを、先輩方からずっと受け継いできたので。

プライベートでは、普通のパパでいたい。家族みんなで、仲良くディズニーランドに行けるような。

“普通”といっても、芸能の仕事をしているだけに、たぶん外からみると「変わってるね」と言われるかもしれない。それは仕方ないと、かねてから線引きはできています。ぼくらにとっての当たり前、そのなかで生活していけたら。そう思っています。

Photographed by Kosumo Hashimoto

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