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前編:自称ミニマリストは「レトロとモダン」「理想と現実」の狭間に生きる(渋谷区)|みんなの部屋

2018/09/25 11:01 投稿

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昭和時代にタイムスリップしたか、はたまた、おとぎの国に迷い込んだか。

そんな“レトロ”という言葉がドンズバな賃貸アパートが、渋谷駅から徒歩5分の場所にあるなんて。

2020年に向けた再開発によって、取り壊しがすでに決定しているこのアパートで暮らす永井一二三(かずふみ)さんは、渋谷と原宿で二拠点生活(?)を送るフリーのコピーライターです。

別のウェブコンテンツに掲載されていたここでの彼の生活から「永井さんはミニマリストである」という事前情報を得ていた僕。

その実情を知れば知るほど、穴に落ちたアリスよろしく、無秩序と混沌の世界で迷子になってしまうことに……。これはその前編。

名前:永井一二三さん
職業:コピーライター
場所:東京都渋谷区
面積:5㎡
家賃:4万円
築年数:築80年


お気に入りの場所



風呂なし、トイレ共用、新聞受けは木製でむき出し、部屋には昔の学生寮にありがちなラディカルな注意書き。

そんな、現代の都市生活者にとっては快適な生活空間とは呼べなさそうな部屋。

永井さんは週に2、3回、夕方から夜にかけて、仕事や読書に勤しむためにやってきます。

原宿のシェアハウスをメインの生活空間とする永井さんにとって、ここはいわば“離れ”のようなもの。

とはいえ驚きなのは、ここには生活にまつわる一切のモノが見当たらず、それどころか入居前となんら変わらない状態が保たれているということ。

3畳一間というシンプルこの上ない空間では、お気に入りの場所、というカテゴライズさえ難しそうですが……

普段どこで過ごすのかと訊けば、おもむろに押入れを開いて見せる永井さん。

「いつも、ここで本を立ち読みしています」

椅子だって持ち込まないのが、ミニマリスト・スタイル。

この部屋に決めた理由

とにかく狭い部屋を探していた

永井さんがこの部屋の存在を知ったのは、3年前のこと。

「なぜか、狭い部屋に憧れがあって。狭くて、駅から近い物件をSUUMOで探して見つけました。話のタネとしてもおもしろいかなと思って。

そのときはすでに入居者が決まってしまっていたので、ここが空くのを待っていたんです」

そもそも住環境において、広さを重視しないという永井さん。

「風呂はないし、トイレも共用ですが、そもそも使わない時間の方が長いですよね。

それに管理も面倒なので……それぞれの部屋にひとつずつ付いてない方が合理的だと思うんですよね」

と独自の理論を展開しつつ「なにしろ、掃除が苦手なので……」とポツリ。

そこに、なにやら不穏な“含み”を感じつつも、そのときは深く考えずスルーしてしまいました。

お気に入りのアイテム

レトロは細部に宿る


「どの部屋もちょっとずつ仕様が違うみたいです。

たとえば玄関扉や鍵。僕の部屋にはとんでもなくレトロな鍵が付いていて、すごく気に入ってます。取り壊しのときに、もらえないかな……」

同じく玄関扉の、まるで潜水艦に付いていそうな丸窓もお気に入り。

暮らしのアイデア

虫対策は徹底して

「ゴキブリ対策として、この部屋に食べものは絶対に持ち込みません!

やはり同じ住居内でも、ヤツらは食べもののある部屋に行くようで……。その証拠に自分の部屋に出たことは一度もありません」

そのポリシーは、ここだけに限った話ではなく、原宿のシェアハウスにおいても徹底されているのだとか。

窓からの眺め。これまたレトロな一軒家が

「そもそも、ここに絶対にモノを置かないって決めてるのには理由があって。

実は自分、モノをすごく増やしちゃうんですよ。あとで原宿の部屋に行けばわかると思いますが……」

意味深に告げられたミニマリストらしからぬ発言の真意、僕はこのとき聞き流してしまっていました。

これからの暮らし

再開発のための取り壊しにあたって、10月31日には空けわたすことが決まっているこの部屋。

渋谷駅から徒歩圏内という好立地、3畳一間という珍しい間取り、レトロなつくりとその雰囲気を含め、なんとも惜しい物件であるように思います。

なにより、80年もの間に染み付いた歴史が、あっさりとなくなってしまうのですから。

「致し方ないとはいえ、すごく貴重な建物なので、改修してでも後世に残せないことが残念でなりません……」

ミニマリストから一転の後半はこちらへ。

Photographed by Yutaro Yamaguchi

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