新宿まで約5分、渋谷まで約10分、学生の街らしく駅前にはリーズナブルな飲食店やカフェが並ぶ明大前。若い人が多いのかと思いきや、駅前を離れると一軒家も立ち並ぶ住宅街が広がっている。
線路沿いの見晴らしのよい道を進むと見えてくるのが、おふたり共にアパレル関係のデザイナーである木村さんご夫婦が暮らすマンション。中がどうなっているのか外からではまったく想像がつかない、大きなコンクリートの箱の一角にあるお部屋を訪ねた。
名前:木村 誠さん 木村(小林)千夏さん職業:FACCIESデザイナー(誠さん)evelyn・An MILLEデザイナー(千夏さん)
場所:東京都杉並区
面積:61.42㎡
間取り:1LDK
家賃:非公開
築年数:築10年
お気に入りの場所
カウンターをオーダーしたキッチン千夏さんのお気に入りの場所はキッチン。共働きで平日は忙しいふたりだが、基本自炊派。料理担当は千夏さんで、誠さんは洗い物担当とのこと。休日は、ローストポークや筑前煮など時間をかけて作ることも多いという。
キッチン前のカウンターは福岡にあるinokaでオーダーしたもの。無印良品のシェルフが入るようにサイズを伝えて作ってもらった。
リビングにあるテーブルと鏡と一緒にオーダーしたとのこと。
光がたっぷり入るバスルーム誠さんのお気に入りは2階にあるバスルーム。十分な広さもある上、ガラス張りなのでさらに解放感が得られそうだ。大きな窓から朝日がたっぷり入ってきて、休みの日の朝風呂は最高なのだとか。
この部屋に決めた理由
木村さんご夫婦が暮らすマンションは、外から見るとコンクリートの無機質な建物。窓も少なく、一見住居なのかどうかもわからない。玄関のドアを開けると予想以上の空間が現れ、はじめて訪れた人は驚くだろう。
まずは広い中庭があり、それをL字型に囲むようにメゾネット形式の居住スペースが作られている。ほとんどがガラス張りだが外をコンクリートの壁で覆っているため、解放感がありながらプライベートは保っている作りになっている。
ここに住んで4年。決め手はなんだたのだろう。
「前も一緒に明大前に住んでいて、街が気に入っていたのでこの辺りで探しました。候補は何軒かあったんですが、実際に見たのはここだけですね。
いちばんの決め手はエントランスです。入った瞬間、おぉ!となりました。その頃キャンプにはまっていたので、ここならアウトドアの気分も味わえそうだなと。庭にテーブルを出して友だちとごはんを食べたり、陽射しがたっぷり入るので家の中も半分外みたいな感じです」(誠さん)
「ここに住んでから家にいる時間が楽しくて、休日もあまり外出しなくなりました。家にいながら太陽をたっぷり浴びれるので、とくに外へ出なくても十分な気がして……」(千夏さん)
残念なところ
床が白くて汚れやゴミが目立つ店舗などで使われていそうな光沢のある白い床。部屋の明るさや解放感にも一役買っているが、汚れやゴミが目立つため掃除が大変なのだとか。
汚れが落ちにくくていろいろな洗剤を試した結果落ち着いたのが、プロも使うという「万能職人」。いかにも強力そうだ。
洗濯機が大きくて扉が閉まらない新しく購入したというドラム式の洗濯機。洗濯機置き場はドアで隠せる構造になっているが、確かに閉まっていない。
「前もドラム式でその時は閉まったので、これも大丈夫だろうとサイズを測らず買ってしまったんです……」(誠さん)
お気に入りのアイテム
友人作のフィギュアフィギュアの原型師をしている友人が作ってくれたという、お二人をモデルにしたフィギュア。キャンプ好きのふたりをイメージして、たき火付き。世界でひとつのオリジナルだ。
結婚式のウェルカムボードの写真にも使われている
寝転がって観ることができるプロジェクター元々新海誠監督が好きで意気投合したのが、お付き合いのきっかけだったというおふたり。映画鑑賞は共通の趣味だ。寝転がりながら観られるベストな位置にセッティングしたプロジェクターで、白い壁に映して映画を楽しむ。
旦那さま作のドライフラワーリビングのカーテンレールに吊るされたドライフラワーは誠さんの手作り。
「お花が好きでよく飾っておくんですけど、しばらくするとこうしてドライフラワーになっているんです」(千夏さん)
新婚旅行の思い出が詰まったボード新婚旅行は、LA、ラスベガス、モニュメントバレー、NYへ。宿泊先のACE HOTELで撮った写真やカードなどを誠さんがスクラップブッキングしたボードが、インテリアの一部として飾られている。
「予約した部屋が手違いでとれていなくて、現地に住む友人が新婚旅行なんだからどうにかしてもらえないかってホテルに電話してくれたんです。そしたら逆にいちばんいいスイートに泊まらせてくれて、部屋に入るとメッセージや花が用意してあって感動しました」(誠さん)
自身がデザインしたニット誠さんは、FACCIESというニットブランドのデザイナー。ファクトリー系のベーシックなニットは多いけれど、もう少しトレンドよりのニットを作りたくて立ち上げたのだという。おすすめのこのニットも、ブルゾンっぽいシルエットや、ポケットや袖口のリブ使いなど凝ったデザインだ。
evelynのムック本千夏さんもまた、アパレルブランドのデザイナーだ。高校生から大学生くらいの女の子に人気だというevelyn、もう少しお姉さん世代をターゲットにしたAn MILLEの2つのブランドを立ち上げデザインをしている。evelynのムック本は、10月7日に発売されたばかりだ。
暮らしのアイデア
カーテンを付けないカーテンは必要最低限にして、外の光をたっぷりと取り入れている。壁で囲まれているため、外の目がまったく気にならないからこその醍醐味だ。太陽が昇って沈む、1日の時間の流れをアウトドアにいるみたいに感じながら生活することができる。
庭にはあまり物を置かないこの物件の大きな特徴である、エントランスの庭。近所に住む友人も多く、ここでBBQなどを楽しむという。その時にセッティングしやすいように、普段は極力何も置かないように気を付けているとのこと。
この庭はガラス張りの家の中からも丸見えの場所、ここがすっきりしていることでインテリア全体に抜け感も生まれている。
家での時間を大切にする家で過ごす時間が大好きだというおふたり。忙しい毎日だからこそ、家では快適に過ごしたいと考えているようだ。
「食事や家事など当たり前のことのための時間をしっかりとるようにしたり。家に帰ってきたら家での時間を大切にしようと心がけています」(千夏さん)
これから暮らし
「来年あたりどこか購入して引っ越したいと思って、今探しているところなんです。一軒家と分譲マンションを良い所どりしたようなコーポラティブハウスにも注目しています。
ここに住んで太陽の心地よさを知ったので、陽当たりがいいこと。それと、植物を育てられるような庭が欲しいですね。この物件のこの間取りのままで自由にできたらと思うくらい、ここでの暮らしはこれからの住まい方のベースになっていく気がしています」(誠さん)
マンションの形状をとりながらも、一歩エントランスを入ると庭付きの一軒家のような雰囲気もあるこの部屋。ここに暮らしたら、次はやはり一軒家に住みたくなるかもしれない。
Photographed by Kayoko Yamamoto